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11に関連する小説ニュースまとめ

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11 ニュース検索結果

2021.8.10  【今週はこれを読め! SF編】江戸川乱歩をドストエフスキーへ還流する、文学的メビウスの環

巻頭に配された「アントンと清姫」、巻末を飾る書き下ろし作品「ドグラートフ・マグラノフスキー」。もうタイトルを見ただけでワクワクするではないか。文学とSFのセンスに優れた名手、高野史緒による超絶リミックス作品集である。全六篇を収録。

2021.7.27  【今週はこれを読め! SF編】つぎつぎに立ちはだかる困難を超えて火星へ

別な時間線の1950年代を設定して、宇宙飛行士を目ざす女性たちの奮闘を描いた『宇宙へ』の続篇。

2021.7.22  【今週はこれを読め! ミステリー編】ヴァランダー・シリーズ最後の書『手/ヴァランダーの世界』

――これはクルト・ヴァランダー・シリーズ最後の出版物である。このシリーズはこの本をもって終了する。

2021.7.22  児童文学作家の那須正幹さん死去

「ズッコケ三人組」シリーズ

2021.7.14  第165回芥川賞は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』、直木賞は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定!

第165回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月14日(水)、都内で開催され、「芥川龍之介賞」は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』に、「直木三十五賞」は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定した。

2021.7.6  【今週はこれを読め! SF編】日本SFにおけるマジックリアリズムの俊才

中井紀夫傑作選。なんとも嬉しい企画である。

2021.6.23  【今週はこれを読め! エンタメ編】過去にとらわれた男の旅〜遠田潤子『緑陰深きところ』

主人公の三宅紘二郎は、40年以上前に大阪・ミナミの外れで「河童亭」というカレー店を開いて、すでに70歳を過ぎた。

2021.6.15  【今週はこれを読め! SF編】奇妙なタイムトラベル、石器時代の種族とともに生きる

1982年に発表、ネビュラ賞長篇部門を受賞したマイクル・ビショップの代表作。

2021.6.11  芥川賞と直木賞の候補作決まる

第165回芥川賞と直木賞の候補作が発表されました。それぞれ5人の作品が選ばれ、いずれも3人が初めての候補です。

2021.6.8  【今週はこれを読め! SF編】冷徹なる種族殲滅の宇宙で、愛は価値を持つか?

世界的ベストセラー《三体》シリーズの完結篇。『三体』『三体II』と比べて、時空スケールがいっそう壮大になっている。

2021.6.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】台湾ミステリーの最高傑作『台北プライベートアイ』

これまで翻訳された台湾ミステリーの最高傑作ではないかと思う。

2021.5.19  【今週はこれを読め! SF編】登場人物たちが暮らす秘密の図書館、書き換えられる初版本

犯罪小説、ホラー、ファンタジイと幅広く活躍するジョン・コナリーの短篇集。大部な原書Night Music: Nocturnes Volume 2から、書物や物語を題材とした四篇を選んでの邦訳だ。

2021.5.12  【今週はこれを読め! SF編】人虎伝説が残る1930年代マレーシアを舞台にした謎と冒険

著者は中国系のマレーシア人で、幼少時代をいくつかの国ですごしたという。ハーバート大学を卒業し、経営コンサルタントやスタートアップ企業での勤務を経て、2013年、長篇The Ghost Brideでデビュー。本書『夜の獣、夢の少年』は第二長篇で、2019年に発表された。どちらの作品も、ニューヨークタイムズ・ベストセラーになっている。

2021.5.12  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.5.11  【今週はこれを読め! SF編】人虎伝説が残る1930年代マレーシアを舞台にした謎と冒険

著者は中国系のマレーシア人で、幼少時代をいくつかの国ですごしたという。ハーバート大学を卒業し、経営コンサルタントやスタートアップ企業での勤務を経て、2013年、長篇The Ghost Brideでデビュー。本書『夜の獣、夢の少年』は第二長篇で、2019年に発表された。どちらの作品も、ニューヨークタイムズ・ベストセラーになっている。

2021.5.11  今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演

今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。

2021.4.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】父親になっていく青年の変化〜オウラヴスドッティル『花の子ども』

主人公のアルンリョウトゥル(ロッビ)は22歳の青年。母さんが事故で亡くなって以来、父さんとふたり暮らしだ。双子の弟であるヨセフは自閉症で、ふだんは施設にいる。そしてロッビには、一夜をともにした相手・アンナとの間に赤ん坊がいる。ロッビたちは結婚しておらず、ふたりの娘であるフロウラ・ソウルはアンナと暮らす。

2021.4.20  【今週はこれを読め! SF編】そこにあるだけの奇跡、手を伸ばしつづける希望

エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』(東京創元社《創元海外SF叢書》)

2021.4.6  【今週はこれを読め! SF編】全銀河に反逆した種族「人類」、その最後の生き残りが主人公

ザック・ジョーダン『最終人類』(ハヤカワ文庫SF)

2021.3.17  森鴎外の未発表書簡24通発見

外国文学の訳を部下に助言

2021.3.15  第12回〈小説 野性時代 新人賞〉 選考結果のお知らせ

本日3月15日(月)午後3時より、第12回〈小説 野性時代 新人賞〉(主催=株式会社KADOKAWA)の選考会が行われました。

2021.3.2  【今週はこれを読め! SF編】死者と生者の都ローマ、血の戦慄と欲望

キム・ニューマン『ドラキュラのチャチャチャ』(アトリエサード)

2021.2.27  作家の読書道 第226回:酉島伝法さん

2011年に「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞、造語を駆使した文章と自筆のイラストで作り上げた異形の世界観で読者を圧倒した酉島伝法さん。2013年に作品集『皆勤の徒』、2019年に第一長編『宿借りの星』で日本SF大賞を受賞した酉島さんは、もともとイラストレーター&デザイナー。幼い頃からの読書生活、そして小説を書き始めたきっかけとは? リモートでお話をおうかがいしました。

2021.2.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】さまざまに変わっていく家族の物語〜窪美澄『ははのれんあい』

「母の恋愛」というものが描かれた作品なのかな、と思いながら読んだけれど(もちろんそこにも触れられるのだけれど)、何よりも家族というものについての小説だった。家族に恵まれている人も残念ながらそうでない人も、すべての人が読むべき作品だと思った。

2021.2.2  【今週はこれを読め! SF編】AIの本質と人間の情動

郝景芳『人之彼岸』(早川書房《新☆ハヤカワ・SFシリーズ》)

2021.1.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】義肢装具士への道〜山本幸久『神様には負けられない』

『神様には負けられない』の主人公は、渋谷医療福祉専門学校(通称シブイク)の2年生である二階堂さえ子。義肢装具士を目指している。

2021.1.13  作家の半藤一利さん死去 90歳

昭和史の研究で知られ、戦争などをテーマに数多くのノンフィクション作品を発表してきた、作家の半藤一利さんが亡くなりました。90歳でした。

2021.1.11  【今週はこれを読め! SF編】特殊な閉鎖環境のなか、「剃刀の刃のように細い線」をたどる叛乱

ピーター・ワッツ『6600万年の革命』(創元SF文庫)

2021.1.11  凪良ゆう、森見登美彦の話題作がランクイン! 「2020年 二十歳が一番読んだ小説ランキング」をhontoが発表!

ハイブリッド型総合書店「honto」が、「2020年 二十歳が一番読んだ小説ランキング」を発表。2020年に話題となった注目作が名を連ねる結果となった。

2021.1.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】地球滅亡までの1ヶ月の物語〜凪良ゆう『滅びの前のシャングリラ』

"地球の滅亡まであと○○"という物語に外れはない。ぱっと思いつく限りでは、『ひとめあなたに...』(新井素子/創元SF文庫)も『終末のフール』(伊坂幸太郎/集英社文庫)もそうだ。そして、新たにこの系譜に連なるのが本書。

2021.1.5  【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー

もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。

2021.1.1  第55回北日本文学賞受賞者インタビュー

宮本輝氏選「第55回北日本文学賞」(副賞100万円)は、大阪市の大学院生、谷町蛞蝓(なめくじ)さん(32)の「きぼう」に決まった。

2020.12.29  【今週はこれを読め! ミステリー編】私立探偵スカダーの長い歩み『石を放つとき』

私立探偵小説のすべてがここに詰まっている。

2020.12.28  出版物の販売額 16年連続で減少 コミックス好調も旅行ガイド減

ことしの国内の出版物の販売額は、新型コロナウイルスの影響でコミックスなどの需要が高まったものの、雑誌の売り上げの大幅な落ち込みなどによって推計で去年よりおよそ2%減少し、16年連続で前の年を下回る見通しとなりました。

2020.12.18  第164回「芥川賞・直木賞」、候補作決まる

日本文学振興会は12月18日、第164回「芥川賞」と「直木賞」の候補作を発表した。来年1月20日に東京・中央区の新喜楽で選考会を開き、同日受賞者の記者会見を開く。候補作は次の通り。

2020.12.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】それぞれ味わいの異なるイヤミス短編集〜芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』

ちょっと、みなさんご存じかしら? 独立短編集ってなかなか売れないんですって。

2020.11.28  「作家になるとは思わなかった」三浦しをんさん流「小説の書き方」

熱い友情、悲しい恋愛、夢あふれる冒険――。心揺さぶられる小説に出合ったとき、自分も物語を書きたいと思ったことはないだろうか。

2020.11.25  【今週はこれを読め! エンタメ編】お誕生会をめぐる短編集〜古内一絵『お誕生会クロニクル』

何歳になっても誕生日はうれしい。それはその通りとして、私はずっと8月下旬の自分の誕生日が好きではなかった。①夏が苦手②夏休みの宿題が終わっていないと焦り始める時期なので、心から楽しめない③8月には原爆の日や終戦の日などがあるので、大っぴらに喜ぶのはためらわれる...といった感じ。誕生会そのものの思い出としては、幼稚園で催された会が7・8月合同だったうえに、おやつがぶどう(デラウエア)一房だけだったことも心のしこりとなっている(他の月はカップケーキとかクッキーとかチョコレートとかだった)。

2020.11.25  作家・小林泰三先生ご逝去のお知らせ (2020/11/25)

2020年11月23日(月)、SF、ホラーからミステリまで幅広く活躍された作家の小林泰三氏(58歳)が大阪府内の病院で逝去されました。

2020.11.24  【今週はこれを読め! SF編】ハイテク汚濁都市にあらわれた神話的存在感を放つ女

作者サム・J・ミラーは2000年代に作家活動をはじめているが、本格始動は2012年。翌13年にシャーリイ・ジャクスン賞短篇部門を受賞、それ以降、いくつもの賞の候補になり、年刊傑作選収録の常連となっている。本書は2018年刊行の第二長篇で、ジョン・W・キャンベル・ジュニア記念賞を受賞した。

2020.11.19  「全米図書賞」の翻訳文学部門に柳美里さんの小説

アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門に、柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」が選ばれました。

2020.11.18  【今週はこれを読め! エンタメ編】絵にすべてを懸けた絵師の姿〜谷津矢車『絵ことば又兵衛』

みんなちがって、みんないい。金子みすゞが命を削るようにして紡いだ言葉は、いまだ人々の心を完全に改めさせるには至っていない。まして、個性や多様性といったものが共通認識とされていなかった時代には、他者の身体面や行動面における特徴をあげつらうのにいま以上に躊躇がなかったのではないだろうか。

2020.11.17  【今週はこれを読め! SF編】銀河英雄伝説トリビュート・アンソロジー

もはや『銀河英雄伝説』は古典である。SFの基礎教養というレベルさえ超え、ミームとして浸透・機能している。本書は、『銀英伝』の設定を活かして、六人の作家がオリジナル・エピソードを繰り広げる競作アンソロジーだ。

2020.11.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ぐっちゃぐちゃなところがいい!〜中島たい子『かきあげ家族』

この本、映画好きのみなさんはお読みになった方がいいです。次々にいろんな映画のタイトルや俳優・監督の名前が出てきて、しかもそれらが絶妙な使われ方をしてるんですよ。例えば、「若くはない引きこもりの息子を久しぶりに観て、八郎は自分は『2001年宇宙の旅』のボーマン船長のように、ワンシーンで一気に老け込んだ気持ちになるのだった」といった感じで。

2020.11.10  【今週はこれを読め! SF編】Anarchy in Osaka

物語の幕が開くのは1969年。

2020.11.5  <火狩りの王>日向理恵子の長編ファンタジー小説がテレビアニメ化 WOWOWで放送

「雨ふる本屋」などで知られる児童文学作家・日向理恵子さんの長編ファンタジー小説「火狩りの王」シリーズがテレビアニメ化され、WOWOWで放送されることが11月5日、分かった。「ひるね姫~知らないワタシの物語~」などのシグナル・エムディが制作する。

2020.11.5  <岬のマヨイガ>柏葉幸子の小説が劇場版アニメ化 吉田玲子脚本 david production製作 2021年公開

2016年に野間児童文芸賞を受賞した柏葉幸子さんの小説「岬のマヨイガ」(講談社)が、アニメ化され、劇場版アニメとして2021年に公開されることが分かった。岩手県の古民家を舞台に居場所を失った17歳の少女と住人たちの共同生活が描かれる。「のんのんびより」などの川面真也さんが監督を務め、「若おかみは小学生!」などの吉田玲子さんが脚本を手掛ける。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどのdavid productionが製作する。

2020.11.4  【今週はこれを読め! エンタメ編】両角長彦『ある実験 一人選べと先生が言った』を一気読み!

マイケル・キートンが演じたときの「バットマン」がよかったと思うのだが、それはジャック・ニコルソンのジョーカーが好みだったからかもしれない。

2020.11.3  【今週はこれを読め! SF編】怪奇小説の伝統に棹さす、みごとな表現の四作品

作者クックはイギリスの作家。ミステリおよび怪奇小説・映画の研究家でもあり、関連の学術著作がある。フィクションは、2017年に出版された本書が最初の単行本だ。四つの作品を収録する短篇集で、表題作「図書室の怪」が原稿用紙換算で300枚を超える中篇、のこり三篇は30~70枚弱の短篇という構成である。

2020.11.3  さきがけ文学賞、初の2編入選 北原岳さん、荒川眞人さん

第37回さきがけ文学賞の最高賞となる入選は、東日本大震災を経験した少年の成長を描いた北原岳(がく)さん(45)=本名・柳井貴士(たかし)、名古屋市、大学講師=の「ヒカリ指す」と、泥棒と少女の交流をテーマにした荒川眞人(まひと)さん(65)=本名・荒川眞(まこと)、三重県四日市市=の「賽銭(さいせん)泥棒」に決まった。

2020.10.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】「ただ一つ存在に価するもの」を描くグランベール『神さまの貨物』

列車は人や動物や荷物を乗せて走る。本来は人のさまざまな気持ちをも運ぶ乗り物だと思う。しかし、その列車に存在したのは絶望のみのはずだった。父親によって投げ落とされた赤ん坊が希望そのものとなるまでは。

2020.10.8  文学賞 米詩人のルイーズ・グリュック氏

日本時間8日夜、ノーベル文学賞の受賞者が発表され、アメリカの詩人、ルイーズ・グリュック氏が選ばれました。期待されていた村上春樹さんら、日本人作家は受賞を逃しました。

2020.9.16  【今週はこれを読め! エンタメ編】おもしろすぎる将棋ミステリー〜奥泉光『死神の棋譜』

おもしろすぎる。ミステリーでもあるし、ファンタジー的な要素もあるのだが、何よりもまず将棋というものを中心に描かれた作品であるというところが重要かなと思う。昨今の将棋人気の盛り上がりも手伝って、多くの作家が将棋を題材にした小説を発表する中、ガチのファンでいらっしゃるという奥泉さんも参戦されたのはうれしい限り。

2020.9.4  すばる文学賞に木崎みつ子さん

第44回すばる文学賞(集英社主催)は4日、大阪府出身の木崎みつ子さん(29)の「コンジュジ」に決まった。

2020.9.1  第57回「文藝賞」、過去最多の応募総数から決まる

河出書房新社は8月27日、第57回「文藝賞」の受賞作を藤原無雨(ふじわら・むう)「水と礫」、優秀作を新胡桃(あらた・くるみ)「星に帰れよ」に決めたと発表した。

2020.8.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】おいしいものが励ましてくれる物語〜冬森灯『縁結びカツサンド』

カツはおいしい。関東出身であることも関係するのか、個人的にはやはりカツは豚肉というイメージがある。村上春樹さんが"関西ではカツといえば牛肉"といった趣旨のエッセイを書いておられて、長らくビーフカツを食べることを熱望していたのだが(そして、実際に食べてみてとてもおいしかったのだが)、トンカツの方が汎用性があることには多くの方が賛成してくださるのではないだろうか(卵でとじる一般的なカツ丼などは、豚で作る方が合う気がするし)。そこでカツサンド。ビーフカツのサンドウィッチももちろん美味だけれど、本書で登場するのは豚肉を使ったものものだ。夏の青空に規則正しく並んだ縞模様の雲を見て、スペアリブを連想してみるのも楽しいと思う(本文ご参照のこと)。

2020.8.25  【今週はこれを読め! SF編】美をめぐる真正と倫理を、SFの設定とミステリの構成で描く

地球の衛星軌道上に建造された博物館天体〈アフロディーテ〉を舞台とするシリーズ三巻目。絵画・工芸・音楽・舞台・文芸・動物・植物などありとあらゆる美が網羅され、データベースに頭脳を直結させた学芸員が活躍している。

2020.8.11  【今週はこれを読め! SF編】新たな壮途へ乗りだした年刊日本SF傑作選

創元SF文庫で十二年つづいた《年刊日本SF傑作選》を後継するアンソロジー・シリーズ。版元を移した経緯や、編者が大森望・日下三蔵のタッグチームから大森ソロへ変わったことなど「序」で語られているが、支障なく友好的に運んだようだ。まずは欣快。

2020.8.6  紫式部文学賞に中島京子さん

京都府宇治市は6日、女性の文学作品が対象の第30回紫式部文学賞に、中島京子さん(56)の小説「夢見る帝国図書館」(文芸春秋)が選ばれたと発表した。賞金200万円。贈呈式は11月22日、宇治市文化会館で行う予定。

2020.7.22  【今週はこれを読め! エンタメ編】鯨井あめ『晴れ、時々くらげを呼ぶ』にやられた!

やられた。完全にやられた。途中までは、高校生たちの無謀とも思えるクラゲ乞いに対して、一歩引いた感じでみていたのに。クラゲが降るとか降らないとか、SFっぽい設定だなあ。世界中に迷惑をかけたいといっても、「病院はてんてこ舞い」な状況を期待するのはいただけないけど(コロナで医療崩壊が危ぶまれるこの時期に)。そもそもなんでクラゲなんだろ。...といった具合に。でも、最後まで読んで、すべて納得できた。迷惑になってもいい。クラゲが降るまで呼べばいい。

2020.6.24  【今週はこれを読め! エンタメ編】読書嫌いと本の虫の青春ミステリー〜青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』

読書家の登場人物が出てきたり、本にまつわる施設(書店・図書館・学校図書室など)が舞台となったりするような小説、たいていの読書好きの好みのどストライクだろう。本書は図書委員の高校生男子が主人公、同じクラスのもうひとりの委員は本の虫である女子、まさに舞台は整った状態。主人公が本が苦手、というのも何ら興を削ぐものではない。

2020.6.16  【今週はこれを読め! SF編】機械論的な時間ループではなく、記憶と歴史の物語

これは、ひとりの女性の人生、第二次大戦を挟んだ激動の歴史、そして、なにより「記憶の物語」だ。外形的には時間ループSFとも言えるが、そう称されるおおよその小説が依拠している機械論的時間観とは一線を画す。

2020.5.28  【今週はこれを読め! ミステリー編】人間の残酷さを浮かび上がらせる作品集『おれの眼を撃った男は死んだ』

シャネル・ベンツ『おれの眼を撃った男は死んだ』(東京創元社)には、優れた短篇に与えられるO・ヘンリー賞を2014年に獲得した「よくある西部の物語」を含む10の小説が収められている。知っている限りベンツが邦訳されるのはこれが初めてだ。テネシー州メンフィス在住で、ローズ・カレッジで教鞭を執っているという以外の経歴はわからない。

2020.5.19  【今週はこれを読め! SF編】初期筒井短篇の社会批判と心理的題材

ユニークな海外SF翻訳によって、俄然、読者の期待を集めている竹書房が、日本SFにも乗りだした。第一弾は、筒井康隆初期短篇の再編集版。編者はファンにはお馴染みの日下三蔵さんだ。以前に編んだ『日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』(ハヤカワ文庫JA)と対になる内容とのこと。

2020.5.5  【今週はこれを読め! SF編】ヤング・カーティス・ニュートン、青二才からヒーローへ

人気スペースオペラ《キャプテン・フューチャー》のリブート版。月面チコ・クレーターの秘密基地から出動する知恵と力と勇気のヒーロー、キャプテン・フューチャーことカーティス・ニュートンと、彼につきそうフューチャーメンという構図は元どおりだが、細かい設定が現代風にアレンジされている。たとえば、宇宙開発の歴史がアポロ宇宙船の月着陸の延長線上にあり、太陽系諸惑星への植民はテラフォーミングと人間のゲノム改造によって成されたといった具合だ。ちなみに元シリーズでは各惑星にネイティヴの知的種族が存在していた。

2020.4.28  【今週はこれを読め! SF編】一面に凍てついた世界を、ふたりで南へ。

投稿サイト発の『横浜駅SF』で日本SF大賞の候補になった著者の第一短篇集。六篇を収録している。

2020.4.23  【今週はこれを読め! ミステリー編】颯爽と八方破れな『弁護士ダニエル・ローリンズ』登場!

人生に絶望するにはまだ早い、と教えてくれる小説である。

2020.4.21  【今週はこれを読め! SF編】激しい性のカタチ、遙かな愛のスガタ

性を題材にした5作品を収録したSF短篇集。

2020.3.27  2020年5月6日(水祝)「第三十回文学フリマ東京」開催中止のお知らせ

5月6日に開催を予定していた「第三十回文学フリマ東京」は、中止といたします。

2020.3.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の青春ライバル小説〜安壇美緒『金木犀とメテオラ』

「もう1作みたい」という言い方を、世間ではわりとよくする気がする。例えば芥川賞・直木賞といった文学賞の選考会で授賞を見送ったときの、「もう1作様子を見てから判断したい」という申し開き的な意味で。あるいはM-1やキングオブコントといった、予選で1本目・決勝で2本目のネタを披露するような大会において。こちらは「(もう1作みたいと思ったので)高い評価をつけた」という場合もあれば、「(もう1本みたかったのに)たいへん惜しい結果だったという場合もある。私も『天龍院亜希子の日記』を読んだときに、「もう1作読みたい!」と強く思ったものだ。「次の作品もおもしろいに違いない」という確信に近い予感によるものだったが、本書を読んで自分の読みに狂いはなかったと大満足である。

2020.3.13  第11回〈小説 野性時代 新人賞〉 選考結果のお知らせ

3月13日(金)午後4時より、第11回〈小説 野性時代 新人賞〉の選考会が行われました。応募総数440作品の中から最終選考に残った4作品のうち、選考委員の厳正なる審査により、蝉谷魚ト(せみたに・とと)さんの『化け者心中』が大賞に決まりました。蝉谷さん、おめでとうございます!

2020.3.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】リアルさに惹きつけられる絲山秋子『御社のチャラ男』

題名からして傑作の予感しかしない、と思った。「御社」と「チャラ男」のミスマッチ感は、作品自体の万華鏡めいたおかしみにも通じるものがある。

2020.3.2  吉川英治文学賞は該当なし 文庫賞は「十二国記」シリーズ

吉川英治国民文化振興会は2日、第54回吉川英治文学賞が該当作なしと決まったと発表した。第5回同文庫賞は小野不由美さんの「十二国記」シリーズ(新潮文庫)。第41回同文学新人賞は今村翔吾氏の「八本目の槍(やり)」(新潮社)と呉勝浩氏の「スワン」(KADOKAWA)。

2020.2.18  【今週はこれを読め! SF編】「珍しさ」より「質」を重視した、選りすぐりの十篇。

過去十年に発表された日本SFの傑作選。『2』は「新鋭篇」で、採られているのは次の10篇。

2020.1.25  作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん

引き離された男女のその後の時間を丁寧に描く『流浪の月』が大評判の凪良ゆうさん。もともとボーイズラブ小説で人気を博し、『神さまのビオトープ』で広い読者を獲得、新作『わたしの美しい庭』も好評と、いま一番勢いのある彼女ですが、幼い頃は漫画家志望だったのだとか。好きだった作品は、そして小説を書くようになった経緯とは。率直に語ってくださっています。

2020.1.21  詩人、ラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん死去

詩人でラテンアメリカ文学研究者の田村さと子さん=本名・川村さと子=が19日、乳がんのため死去した。

2020.1.21  【今週はこれを読め! SF編】波瀾万丈な人生のなかにの潜む"得体の知れぬ"裂け目

メキシコ出張中、急な雨を避けるために飛びこんだ古本屋。ほとんどはスペイン語の安手のペーパーバックだったが、棚の下のほうにハードカバーが何冊かある。私の目を引いたのは、とくに大判の一冊だ。英語のようだが、背文字は色褪せていてよくわからない。黴の匂いのするページを開くと、扉に『黒曜石雲』とあった。十九世紀の本のようだ。著者はRev. K. Macbaneとある。「Rev.」ということは牧師(reverend)か? 私がその本に運命的なものを感じたのは、副題に「エアシャー郡ダンケアン町の上空で起きた今も記録に残る奇怪なできごとの記述」とあったからだ。

2020.1.16  渡辺利雄氏が死去 米文学者

渡辺 利雄氏(わたなべ・としお=米文学者、東京大名誉教授)1月10日、急性骨髄性白血病のため死去、84歳。

2020.1.15  芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」

第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。

2020.1.14  【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇

H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご本尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。

2020.1.8  【今週はこれを読め! エンタメ編】駅伝に興味のない人にもおすすめの額賀澪『タスキメシ 箱根』

今年の年始も箱根駅伝に釘付けでいらしたファンのみなさん、来年の大会まであと360日ほどどのようにお過ごしでしょうか? もちろん元日には実業団の大会であるニューイヤー駅伝もありますし、大学三大駅伝(←箱根を合わせて)である出雲・全日本なども始まるわけですが、それでも箱根は特別なんですよね。箱根駅伝は1年にたった2日間、残りの300と何十日間(箱根以外の大会やマラソンも観るとしても)を我々は駅伝なしの日々を送らなければならない。そんなファンたちを支えてくれるもののひとつが駅伝小説だと思うんです。

2020.1.7  【今週はこれを読め! SF編】横たわるグリオール以前と、死んだグリオール以後

『竜のグリオールに絵を描いた男』につづく、シリーズ第二短篇集。この欄で前作を取りあげたおりにふれたが(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2018/09/11/173735.html)、麻痺状態で横たわりながらも成長をつづける超巨大竜グリオールをめぐる物語だ。グリオールは人間を操るとひとびとは信じている。しかし、実際に竜の意志がテレパシー的に働いているのか、それとも人間の心にある呪術信仰による誘導なのか、あるいは運命論的な見立てで事後に物語化されるのか、判然としない。そこから醸しだされる靄のような感覚がじつにみごとだ。定型的なファンタジイ設定にはおさまらない世界である。

2020.1.6  冬アニメ『魔術士オーフェンはぐれ旅』原作者・秋田禎信さん&オーフェン役・森久保祥太郎さんインタビュー|森久保さんが現場一番の若手から若手を引っ張る座長へ

1994年に小説連載が始まり、1998年にアニメ化、2019年には舞台化と、長年に渡ってたくさんのファンに愛され、様々な展開を見せてきた『魔術士オーフェンはぐれ旅』。

2019.12.24  【今週はこれを読め! SF編】寄稿者の持ち味が十二分に発揮されたオリジナル・アンソロジー

創元SF短編賞出身作家を中心に編まれたオリジナル・アンソロジー《Genesis》の第二巻。第一巻『一万年の午後』(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2019/01/08/144902.html)と同様、ホームグラウンドだけに、寄稿者それぞれが自分の持ち味をのびのびと発揮している。

2019.12.23  第11回「日経小説大賞」に湊ナオ氏と夏山かほる氏

第11回日経小説大賞(日本経済新聞社・日本経済新聞出版社共催)の受賞作が、湊ナオ氏(49)の「東京普請日和」と夏山かほる氏(50)の「新・紫式部日記」に決まりました。辻原登、高樹のぶ子、伊集院静の3氏が選考に当たりました。

2019.12.17  【今週はこれを読め! SF編】間口が広い物語と、ロジックの通った展開

松崎有理は現代日本SFの良き中庸といえるだろう。テーマと表現の両面で先鋭に走らず、かといって定型化した小説パターンで流すのでもなく、独自性があって間口の広い作品をコンスタントに発表している。本書は五篇を収めた短篇集。

2019.12.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】ささやかな日常が素晴らしい〜『とんがりモミの木の郷』

セアラ・オーン・ジュエット。この名前にお心当たりのある方は相当のアメリカ文学通といえるのではないか。私も学生時代は英米文学専攻だったゆえ、テスト前の一夜漬けで作家の名前を暗記したりもしたものだが、ジュエットという固有名詞にはまったく覚えがない(訳者解説でも、ジュエットの知名度の低さは指摘されている)。しかし、いいですよ。すごくいいです、ジュエット! こんな月並みな言い方しかできないほどに。

2019.12.6  発表! 2019年いちばんおすすめの文庫本は『戦場のアリス』に決定!

書評誌「本の雑誌」が毎年年末に丸ごと文庫本を紹介するガイドブックとして刊行している『おすすめ文庫王国2020』にて、本の雑誌が選ぶ2019年度文庫ベストテンを発表!

2019.11.28  【今週はこれを読め! SF編】困難なミッションに挑む、量子魔術師と個性溢れるメンバーたち

舞台となるのは人類が宇宙へと広がり、複雑な人種的葛藤と利益対立の多国家文明を築いている遠未来。"魔術師"と異名をとる主人公ベリサリウス・アルホーナは、量子的感覚・思考を備えたホモ・クアントゥスのひとりだ。彼はその驚異的な能力をもっぱら詐欺に発揮している。詐欺といってもケチな違法行為ではなく、曲者や権力を相手取った知恵比べといった側面が強い。

2019.11.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】大学生作家と競歩選手の成長小説〜額賀澪『競歩王』

この秋、日本はラグビー人気に沸きに沸いた。しかしながら、同時期に行われた世界陸上競技選手権においては、競歩の選手が2つもの金メダルを獲得したこともどうか覚えておいていただきたい。競歩では鈴木雄介選手が50kmで、山西利和選手が20kmでそれぞれ優勝した。ラグビーのように豪快なスクラムやすばやいトライやチームメイトとの熱い抱擁などは、競歩にはないものである。ひたすら選手たちが歩き続ける競技なのだ、独特のフォームで。

2019.11.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】スリル満点のリンカーン・ライムシリーズ最新作『カッティング・エッジ』

スリラー。文字通りスリルを掻き立てることを目的にした娯楽作品だ。

2019.11.20  【今週はこれを読め! エンタメ編】亭主関白な夫の成長物語〜坂井希久子『妻の終活』

夫と自分のどちらが先立つだろうかということについては、ときどき考える。私の知る身近な夫婦(実の両親や祖父母)は圧倒的に妻が残されるというパターンが多かったため、これまではなんとなく自分たちもそうなるのではという気がしていた。しかし、こればっかりはどうなるかわからないということを、この小説によって思い知らされた。

2019.11.19  【今週はこれを読め! SF編】遍歴のなかで次々と物語内人物に重なる、ロマンチックな異界往還譚

アメリカの怪奇幻想文学史を概観した資料を読むと、日本ではさほど知られていないものの、〈ウィアード・テールズ〉以前の時期に活躍した重要作家としてかならず言及されている人物がいることに気づく。ひとりはロバート・W・チェンバース、もうひとりがこのジェイムズ・ブランチ・キャベルだ。

2019.11.14  【特集】『エリスの聖杯』刊行記念特別企画 常磐くじら先生×大森藤ノ先生スペシャル対談インタビュー

2019年11月15日頃に発売されるGAノベル刊『エリスの聖杯』の刊行を記念して、著者である常磐くじら先生と、本作の熱烈なファンであり、書籍化のきっかけとなったGA文庫刊『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の大森藤ノ先生をお招きしてのスペシャル対談インタビューをお届けする。『エリスの聖杯』が書籍化に至るまでの道のりと、大森藤ノ先生が激賞する物語やキャラクターについて、さらにはお二人の視点から見る「悪役令嬢やダークヒーローの魅力」など、幅広く語っていただいた。

2019.11.13  【今週はこれを読め! エンタメ編】相談&活劇の大石大『シャガクに訊け!』

社会学部。どのような学問をする場なのか、わかるようで実態がよくわからない気がしていたのは私だけだろうか(うちの場合、次男が実際に社会学部生だったりするのに)。

2019.11.12  【今週はこれを読め! SF編】「宇宙」と「時間」、対になった二冊のテーマ・アンソロジー

二冊組みのアンソロジー。いっぽうは「宇宙」、もういっぽうが「時間」がテーマだ。作品を寄せているのは、創元SF短編賞からデビューした俊英たちである。

2019.11.10  【今週はこれを読め! ミステリー編】『生者と死者に告ぐ』の執拗な語りに唸る!

あれあれ、ネレ・ノイハウスってこんなにおもしろかったけ。

2019.11.7  毎日出版文化賞の人々:/上 文学・芸術部門 川上未映子さん/人文・社会部門 関根清三さん

優れた出版物の著者や編者、出版社などを顕彰する第73回毎日出版文化賞(特別協力=大日本印刷株式会社)の受賞図書が決まった。

2019.11.7  野間4賞、「文芸賞」は松浦寿輝『人外』に

野間文化財団が11月6日に発表。第72回「野間文芸賞」に、松浦寿輝『人外』(講談社)、第41回「野間文芸新人賞」に、古谷田奈月『神前酔狂宴』(河出書房新社)と千葉雅也『デッドライン』(「新潮」2019年9月号)、第57回「野間児童文芸賞」に戸森しるこ『ゆかいな床井くん』(講談社)を選出した。

2019.11.6  【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!

「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。

2019.11.5  【今週はこれを読め! SF編】翡翠というモチーフが担う多義性、多視点で語られる物語の推進力

『翡翠城市』は異世界ファンタジイだが、感覚はひじょうに現代的だ。エキゾチズムやロマンチシズムに拠るのではなく、内政と外交においてシビアな駆け引きがおこなわれる。そのいっぽう、民族主義的・家族主義的な組織論も息づいている。物語の中心となる登場人物は、コール家の長兄ラン、次兄ヒロ、妹シェイの三人だ。

2019.11.3  SF小説の名手、眉村卓さん死去

作品に「ねらわれた学園」

2019.10.27  【今週はこれを読め! ミステリー編】最も読むべき翻訳ミステリー・アンソロジー『短編ミステリの二百年vol.1』

21世紀に入ってから、という限定付きではあるが、これは最も読むべき翻訳ミステリー・アンゾロジーになるであろう。

2019.10.26  作家の読書道 第211回:又吉直樹さん

お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。

2019.10.24  桔梗さんと凪さんにエルマール文学賞 /兵庫

関西の同人誌で活動する作家に光を当て、優秀作品を顕彰する「第13回神戸エルマール文学賞」(同文学賞基金委員会主催)に桔梗第三さん(87)の「桜の絵を描く男」(飢餓祭44号)と凪和(なぎなごむ)さん(60)の「省三」(文の鳥創刊号)が選ばれた。

2019.10.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】確かな足元が崩れ落ちるリンドクヴィスト『ボーダー 二つの世界』

足元に確かにあったはずの地面がふっと消失し、無限の落下が始まる。

2019.10.18  日本文学振興会、第67回「菊池寛賞」を発表

10月2日開催の選考顧問会で受賞者を決め、同18日発表した。今回は、作家・浅田次郎氏、バレリーナ・吉田都さん、幼児向けテレビ番組・NHK「おかあさんといっしょ」、海軍史研究家・戸髙一成氏とPHP研究所を選出した。

2019.10.18  【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー

2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。

2019.10.15  【今週はこれを読め! SF編】異常な光景の描写と巧みなストーリーの背後に、アメリカの歪みや傷を映しだす

四つの中篇を収録した作品集。空想的要素の度合いとその扱いは、作品ごとに違っている。

2019.10.9  【今週はこれを読め! エンタメ編】読まずにいられない小説〜遠田潤子『廃墟の白墨』

遠田潤子の小説を好きか、と聞かれたらなんと答えればよいのか迷う。手放しで共感できる登場人物も少ないし、描かれる状況も積極的に身を置きたくないシチュエーションがほとんどだ。だから、私にとって遠田作品は好き嫌いとは異なる次元にある。読まずにいられないから読むものなのである。

2019.10.7  【今週はこれを読め! ミステリー編】失われた人生のシークエンスを探す冒険行『戦下の淡き光』

こんなことが本当に起こりえたのかという人生の瞬間についての小説だ。

2019.9.21  【今週はこれを読め! ミステリー編】何が起こるかわからない『11月に去りし者』

小説は思いがけないことが起こるからおもしろい。

2019.9.17  【今週はこれを読め! SF編】SFというジャンルを問い直しつづけた年刊傑作選の、これが最終巻。

2008年刊行の『虚構機関』から12巻を数えた《年刊日本SF傑作選》もこれが最終巻。前年に発表された作品のなかから(しかも掲載媒体を問わず)、優れたSFを選びぬくという途轍もない労力をたゆまずにつづけてきた編者のおふたりには、感謝の気持ちしかない。このアンソロジーのおかげで現代日本SFの見通しがぐんと良くなった。傑作の紹介だけにとどまらず、SFというジャンルを問い直す契機を与えてくれた。

2019.9.13  小学館、第68回「小学館児童出版文化賞」を決定

9月12日、最終選考会を行い、受賞作を決めた。受賞作は、小手鞠るい『ある晴れた夏の朝』(偕成社)、田中清代『くろいの』(偕成社)、おくはらゆめ『わたしといろんなねこ』(あかね書房)の3作。

2019.9.12  小説すばる新人賞に上畠菜緒さん、佐藤雫さん

第32回小説すばる新人賞(集英社主催)は12日、上畠菜緒さん(25)の「しゃもぬまの島」、佐藤雫さん(31)の「海の匂い」に決まった。賞金は各200万円。贈賞式は11月15日に東京都内で行われる。

2019.9.12  角野栄子さん文学館開館へ 東京都江戸川区に22年度

「魔女の宅急便」などで知られ、国際アンデルセン賞受賞者の児童文学作家角野栄子さん(84)が11日、東京都江戸川区で会見し、自身がプロデュースする児童文学館の構想について発表した。

2019.9.11  【今週はこれを読め! エンタメ編】心を揺さぶる至言の宝庫〜ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』

複数の人間が万事においてまったく同じ考え方や感じ方をすることはあり得ない。他者に対して大多数の人間は、「だいたい同じような考え方をするけど、こういう点については違う」か「ほとんど似たところはないけど、こういう面は共感できる」か「似通った部分もあれば、そうでない部分もある」かのいずれかの気持ちを持つものではないだろうか(「全否定」に当てはまる他者というのはそう多くない、はず)。

2019.9.6  【今週はこれを読め! ミステリー編】夏の終わりに読みたい二つの中編『エレベーター』『わが母なるロージー』

暑さ寒さも彼岸までと言う。まだ夏が終わらないうちに、この本を読んでしまおう。

2019.9.5  すばる文学賞に高瀬隼子さん

第43回すばる文学賞(集英社主催)は4日、東京都在住の大学職員、高瀬隼子さん(31)の「犬のかたちをしているもの」に決まった。

2019.9.4  『異世界チート魔術師』原作者・内田健先生インタビュー|「楽しい」からこそ、ここまで書き続けられた

小説投稿サイト『小説家になろう』(以下、なろう)で連載中、ヒーロー文庫より書籍版が刊行中の内田健先生によるライトノベル『異世界チート魔術師』。

2019.9.3  紫式部文学賞に山崎佳代子さん

女性の文学作品に贈られる第29回紫式部文学賞(京都府宇治市など主催)が3日、山崎佳代子さん(62)の「パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶」(勁草書房)に決まった。賞金は200万円。贈呈式は11月9日、宇治市源氏物語ミュージアムで。

2019.8.30  【今週はこれを読め! ミステリー編】生命を懸けた脱出ゲーム『名探偵の密室』

名探偵が自らの生命を懸けた脱出ゲームに招待される。

2019.8.6  【今週はこれを読め! SF編】アイデアとロジックの名手!

草上仁、ひさしぶりの作品集である。草上さんは〈SFマガジン〉をホームグラウンドとしてコンスタントに作品を発表しているのだが、このごろの長篇偏重の出版事情のせいか、なかなか一冊にまとまらなかった。コアなSF読者およびプロ作家のあいだでは、草上作品の評判は高く、こんかいの『5分間SF』はかねてより待ち望まれていた、ちょっと大袈裟にいえば慈雨のような一冊である。YOUCHANの装画もシャレている。

2019.7.17  芥川賞に今村夏子さん 直木賞に大島真寿美さん

第161回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」、直木賞は大島真寿美さんの「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」(うず/いもせやまおんなていきん/たまむすび)が、それぞれ選ばれました。

2019.7.16  【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉

スティーヴン・ミルハウザーの言葉は、ささやかな、しかし鮮やかな魔法のように、読み手の世界を変えていく。『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『ナイフ投げ師』『十三の物語』といった短篇集に収められた諸篇を読むとき、ぼくの脳裡に浮かぶのは、十八世紀スイスの時計職人が生みだした精妙な機械細工だ。小さな空間に驚異と憧憬が詰まっている。

2019.7.11  『逃げ出せなかった君へ』安藤祐介

現在、日本では働き方改革が推奨されている。小説では『わたし、定時で帰ります。』がより良き働き方を訴え、断固と立ち向かう女性が泣き笑いの奮闘をし、自分たちの道を切り開いていく様が、共感を得て、大ヒットしている。

2019.7.9  【今週はこれを読め! SF編】何度も滅びて再興する三体世界の文明、それが地球にもたらすもの

質・量ともに中国の現代SFの隆盛がめざましい。その頂点に位置するメガヒット作が本書『三体』だ。もとはSF専門誌〈科幻世界〉に連載されたもので、2008年に単行本が刊行。続篇の『黒暗森林』『死神永生』と併せ、これまでに2100万部を売り上げたとも言われている。ケン・リュウの手による英訳版はヒューゴー賞を射止めた。おそらく今世紀に入ってからいままでのSFシーンにおいて最高の話題作だ。

2019.7.5  《GA文庫大賞》大賞作『処刑少女の生きる道 ―そして、彼女は甦る―』佐藤真登インタビュー

ライトノベルファン待望の本格異世界ファンタジー!〈処刑人〉の少女と〈迷い人〉の少女。殺す側と殺される側の必然の出会いは予期せぬ友情へと展開する――。殺伐とした世界を生き抜く少女メノウと、彼女を取り巻く個性豊かな女性たちが織りなす生と死のドラマ。《GA文庫大賞》7年ぶりの大賞作が満を持してここに登場!

2019.7.5  最優秀賞に春日さん小説アズキッパ 高遠文芸賞

伊那市高遠町に関する文芸作品を顕彰する「高遠文芸賞」の受賞作品が決まった。主催する高遠ブックフェスティバル実行委員会(遠藤覚実行委員長)が4日までに発表した。

2019.7.2  【今週はこれを読め! SF編】架空都市をめぐる36の断章

ギョルゲ・ササルマンはルーマニアのSF作家。1941年生まれだから、アメリカのサミュエル・R・ディレイニー(42年)、ジョー・ホールドマン(43年)、イギリスのクリストファー・プリースト(43年)、イアン・ワトスン(43年)と同じ世代にあたる。日本ならば田中光二(41年)、伊藤典夫(42年)。大ベテランだ。

2019.6.25  【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い

アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。

2019.6.17  直木賞 6候補作すべて女性の作品 昭和10年からの歴史で初

令和最初の開催となる第161回芥川賞と直木賞の候補作が発表され、直木賞では6つの候補作がすべて女性作家の作品となりました。昭和10年に始まった賞の歴史の中で、候補作がすべて女性の作品となったのは初めてです。

2019.6.11  【今週はこれを読め! SF編】実体と魔物に分かれたひとり。止められない戦争をいかに生きるか?

上田早夕里は小松左京の名を冠した公募新人賞からデビュー、その受賞経歴にふさわしく、人類史的スケールの視座から、しかしいっぽうで地に生きる個人の意志や情動を取りこぼさずに描く、骨太の作品を送りだして、読者の注目を集めてきた。そのいっぽう、《妖怪探偵・百目》や《洋菓子》など、別の領域の作品でも一定の評価を得ている。きわめて懐の深いクリエーターといえるだろう。

2019.5.17  【今週はこれを読め! ミステリー編】老魔術師と少年が起こす奇跡『トリック』

老魔術師は言う。「夢、信じるなら、夢のままで終わらない」と。

2019.5.15  直木賞作家、阿部牧郎さん死去 推理小説に官能小説も

推理小説や歴史小説をはじめ、娯楽性あふれる幅広いジャンルの作品を残した直木賞作家、阿部牧郎(あべ・まきお)さんが11日、急性肺炎のため死去した。85歳。京都市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、お別れの会を開く予定。喪主は妻、映子(えいこ)さん。

2019.5.14  【今週はこれを読め! SF編】場所が特定できぬ孤峰、スパゲッティコードとしての世界

これは旅の物語であり、物語という旅である。地図はない。行ってみないと、その先がどうなっているかわからない。

2019.4.19  【今週はこれを読め! SF編】第一級の脱出不可能ミステリー『火星無期懲役』

火星は地獄だ!(ジョン・W・キャンベル風に)

2019.4.17  宮野真守が太宰作品の主演に決定!『人間失格』を原案とした劇場アニメ公開決定

太宰治の小説『人間失格』を原案にした劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』が公開されることが明らかに。主演を宮野真守が務めるとあって、「太宰作品と宮野さんの組み合わせは気になる」「近未来SFって感じだけどどうなっちゃうの!?」と注目を集めている。

2019.4.13  【今週はこれを読め! ミステリー編】感情を激しく揺り動かす圧巻のスリラー『終焉の日』

まるで暴れ馬のたてがみにしがみついているような乗り心地、読み心地であった。

2019.4.10  出版取り次ぎ大手の日販とトーハン 発送業務などで協業へ

長年のライバルだった出版取り次ぎ大手の日本出版販売とトーハン。出版をめぐる厳しい経営環境の中、あえて手を組み、新刊の書籍の発送業務などについて協業を進めていくことになりました。

2019.4.9  「2019年本屋大賞」決定!! 大賞は瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』 全ノミネート作の順位を発表!

全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2019」の受賞作が決定した。

2019.4.2  老舗電子書籍サイト「パブー」、9月末で閉店 購入・ダウンロード済みの本はサービス終了後も利用可能

6月30日に新規作品の公開停止、9月30日に販売終了、11月30日にログイン機能停止(購入済み作品が入手不可に)と、段階を踏んで閉鎖します。

2019.3.31  低迷する文庫市場に光明 女性読者が支える"時代小説"

女性読者が増えた要因とは?

2019.3.27  【今週はこれを読め! エンタメ編】シングルファーザーの成長小説〜まはら三桃 『パパとセイラの177日間 保険外交員始めました』

ひとりで子どもを育てるのがたいへんなことは、母親も父親も変わらないことと思う。しかし一般的に、"ひとり親"と聞くとシングルマザーを想定する場合が多く感じるのは、日本においては親権を父親が持つことの方が少ないからだろう。私自身も父子家庭の例を知らないわけではないが、例えばフィクションなどでもひとりで子育てする父親に注目が集まるケースはあまりないという気がする。

2019.3.26  【今週はこれを読め! SF編】それでもなお、ひとは自由意志を希求する

ピーター・ワッツの長篇『ブライントサイト』の衝撃は忘れがたい。知性にとって意識は必然的なものではない。この大前提に、まず痺れた。

2019.3.4  吉川英治文学賞に篠田節子さん

吉川英治国民文化振興会は4日、第53回吉川英治文学賞は篠田節子さんの「鏡の背面」(集英社)に決まったと発表した。

2019.2.26  【今週はこれを読め! SF編】総統になりそこねた男の「わが捜査」

「その女性は、いかにも知的なユダヤ女という顔つきをしていた」という、私立探偵のモノローグからはじまるハードボイルドである。彼女は、行方不明になった妹を捜してほしいという。それ自体は、よくある依頼だ。

2019.2.24  日本文学研究者ドナルド・キーンさんが死去 96歳

米国出身の日本文学研究の第一人者で文化勲章受章者のドナルド・キーン氏が24日午前6時21分、心不全のため東京都内の病院で死去した。96歳だった。お別れの会を行うが日取りなどは未定。喪主は養子のキーン誠己さん。

2019.2.20  小説部門で青森高生優秀賞/田辺聖子文学賞

大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館は19日、第11回田辺聖子文学館ジュニア文学賞の受賞者を発表した。

2019.2.12  【今週はこれを読め! SF編】幻想への航海、宙づりのままに残る謎

カール・エドワード・ワグナーが「LSDでぶっとんだメルヴィルが書いた『宝島』」と評した奇書である。ただし、表面的な筋を追うぶんには、ストレートな海洋幻想譚にすぎない。重要なのは、物語の向こう側にある何かだ。

2019.2.11  トミー・ウンゲラー氏死去=児童文学作家

トミー・ウンゲラー氏(フランス出身の児童文学作家)9日、アイルランドにある娘の自宅で死去、87歳。知人が9日、明らかにした。

2019.2.10  作家の堺屋太一さん死去 小説「団塊の世代」

「団塊の世代」などの小説で知られ、平成10年から2年間、経済企画庁長官も務めるなど、政治や経済、文芸など、幅広い分野で活躍した堺屋太一さんが、8日多臓器不全のため亡くなりました。83歳でした。

2019.2.1  【今週はこれを読め! ミステリー編】運命に立ち向かう少女の物語『カッコーの歌』

今回採り上げるのはミステリーではない。分類するならばファンタジーなのだが、サスペンスの醸成が尋常ではなく巧く、物語が静から動に転じた後の展開の小気味よさったらない。何事が進行しているのか、という謎で引っ張る展開も素晴らしく、つまりは私がミステリーに求めているもののほとんどはここに入っているのである。本欄をお読みのミステリー・ファンのみなさんにも同じ気持ちを共有していただけるものと信じて。

2019.1.30  今週はこれを読め! エンタメ編】本とお酒と謎がうれしい『九十九書店の地下には秘密のバーがある』

これまでにも著者の岡崎琢磨さんは『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(宝島社文庫)を第一作とするシリーズや『春待ち雑貨店ぷらんたん』(新潮社)などで趣のあるさまざまな店を舞台にされてきたが、読者にとっては本書が最高峰といっていいのではないだろうか。なんといっても書店である。それも、地下にバーがある書店だ。本とお酒が好きな人にはたまらないだろう(巻末にはそれぞれの短編で言及された作品名リストが掲載されているのも、読者にはうれしい趣向。私自身はほぼ下戸なので、地下の店はフルーツパーラーか甘味処だったらさらに喜ばしいけれど)。しかも、ここにはもうひとつ見逃せないボーナスポイントがある。それは書店およびバーに、魅力的な謎がセットになっていることだ。

2019.1.26  作家の読書道 第202回:寺地はるなさん - 作家の読書道

婚約を破棄されどん底にいた女性が、ひょんなことから雑貨屋で働くことになって……あたかい再生の物語『ビオレタ』でポプラ社小説新人賞を受賞、以来、現代人の心の沁みる小説を発表し続けている寺地はるなさん。幼い頃は親に隠れて本を読んでいたのだとか。読書家だけど小説家を目指していたわけではなかった寺地さんが小説を書き始めたきっかけは? 読むことによって得た違和感や感動が血肉となってきたと分かる読書道です。

2019.1.22  気になる大賞はどの作品に!?「2019年 本屋大賞」ノミネート10作品発表!

2019年1月22日(火)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2019年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。

2019.1.19  【今週はこれを読め! エンタメ編】"三人"の友情競作集『そしてぼくらは仲間になった』

実は『ズッコケ三人組』(那須正幹/ポプラ社)シリーズにはあまり親しんでこなかった世代である。いや、世代のせいにするのは違うかもしれない。シリーズ第1作『それいけズッコケ三人組』が刊行されたのは、1978年。自分は11〜12歳だったので、対象年齢の範囲内といえるだろう。とはいえ第1作が出た段階では(もちろんここまでの数の読者を獲得してはいなかっただろうし)、これほどの人気シリーズになるとは予想できなかったというのも事実ではないか。少なくとも私の周りの同学年の中では、かなりの本好きが新刊が出たことを知っていたか知らないか、という感じだった。自分自身を顧みれば、当時は『赤毛のアン』シリーズに夢中になっていた頃だったので、日本の児童文学にはいまひとつ目が向いていなかった。

2019.1.16  第160回芥川賞は上田岳弘の『ニムロッド』と町屋良平の『1R1分34秒』に、直木賞は真藤順丈の『宝島』に決定!

第160回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は1月16日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川賞」は上田岳弘の『ニムロッド』と町屋良平の『1R(いちらうんど)1分34秒』の2作品に、直木賞は真藤順丈の『宝島』に決定した。

2019.1.16  SF作家の横田順彌さん死去

横田順彌氏(よこた・じゅんや=SF作家、明治文化史研究家) 4日、心不全のため死去、73歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は姉、鈴木ます子(すずき・ますこ)さん。後日、しのぶ会を開く予定。

2019.1.15  【今週はこれを読め! ミステリー編】血が滾る冒険小説『拳銃使いの娘』

血が滾る、としか言いようのない小説である。

2019.1.14  哲学者の梅原猛さん死去 日本古代史に大胆な仮説を展開

独自の理論で日本古代史に大胆な仮説を展開した哲学者で、国際日本文化研究センター(日文研、京都市西京区)の初代所長を務めた文化勲章受章者の梅原猛(うめはら・たけし)さんが12日、死去した。93歳だった。

2019.1.8  注目アニメ紹介:「盾の勇者の成り上がり」 "なろう系"人気ラノベがテレビアニメ化 連続2クール放送

小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「盾の勇者の成り上がり」が9日から順次、放送される。ライトノベルはMFブックス(KADOKAWA)から刊行されており、アニメは連続2クールで放送される。

2018.12.26  【今週はこれを読め! ミステリー編】黒人テキサス・レンジャーの闘い『ブルーバード、ブルーバード』

朝から嫌なことがあり、感情を抑えるのに苦労しながら一日を過ごした。

2018.12.26  【今週はこれを読め! エンタメ編】10歳の少年の家族や友達との日々〜朝倉かすみ『ぼくは朝日』

故ナンシー関さんが、ノストラダムスの大予言を本気で信じていたらしい長嶋一茂さんについて"小4男子のようだ"といった感じで形容されたことは、いまでも鮮やかに私の記憶に刻み込まれている。

2018.12.25  本の販売金額、ピークの半分割れ

2018年の紙の出版物(書籍と雑誌の合計)の推定販売金額は約1兆2800億円台となり、市場規模がピーク時の半分を割る見通しとなったことが25日、出版科学研究所(東京)の調査で分かった。1~11月期の販売金額は前年比6.4%減だった。

2018.12.22  作家の読書道 第201回:古内一絵さん

映画会社に勤務したのち作家デビューを果たし、さまざまな舞台を選んで小説を執筆している古内一絵さん。ドラァグクイーンが身体にやさしい夜食を出してくれる「マカン・マラン」もいよいよ完結、今後の作品も楽しみなところ。では、どんな読書体験を経て、なぜ小説家へ転身を果たしたのか。その転機も含めて読書遍歴をおうかがいしました。

2018.12.20  【エンタメ小説月評】武家の悲喜 巧みな構成

ああ、うまいものだ――。朝井まかて『草々不一』(講談社)を読みながら、何度そう思ったことだろう。いい塩梅なのだ。武家の悲喜こもごもを描く短編8本を収めるが、語るべきことは存分に語り、余分は記さない。だから一編一編は短くとも、登場人物の人生が確かな手応えをもって伝わってくる。

2018.12.14  三島由紀夫や志賀直哉、川端康成らの作品が青空文庫で公開されるのは20年先に

著作権保護期間が"死後70年"へ延長、公開されるはずだった作品の作業が停止

2018.12.11  入場料1500円の本屋 検索機なし、50音順に並べず

東京・六本木の青山ブックセンターの跡地で11日、入場料1500円を支払う書店「文喫(ぶんきつ)」が開店した。出版不況のなか、本の販売以外の新たなビジネスモデルを探ろうと入場料制を導入。付加価値のある空間を目指すという。

2018.12.11  【今週はこれを読め! SF編】食べ飽きない語り口の妙、滋味ゆたかな物語

清朝の中国江南地方を舞台とした美食ファンタジイ。食の描写は、性愛や感情の描写と同様、ごてごてと修辞を盛ればよいというものではなく、細部を際立たせようとすれば全体がぼやけてだいなしになる。勝山海百合はそこらへんが絶妙なのだ。

2018.12.3  森見登美彦さん「もう二度と嫌」 新作小説との格闘談

その本は決して読み終えることができない――。「夜は短し歩けよ乙女」「ペンギン・ハイウェイ」などで知られる奈良市在住の作家、森見登美彦さんの新刊「熱帯」(文芸春秋)は、謎に包まれた「幻の本」をめぐり、現実と幻想のあわいで大冒険を繰り広げる長編小説だ。執筆開始から8年。途中で悩んだり、自信を失ったり。「小説家としての思春期」「もう二度と嫌」とも。そんな新作への思いを聞いた。

2018.11.29  【エンタメ小説月評】語りが持つ力に驚き

小説を読むことの醍醐味は、ストーリーや仕掛けを楽しむ部分と、語りの面白さを味わうという二つの側面がある。「何を書くか」と「どう書くか」という問題と言い換えることもできるかもしれない。

2018.11.29  ホラー小説大賞2作品、次回から刷新

日本ホラー小説大賞は、次回から横溝正史ミステリ大賞と統合され、「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」へとリニューアルする。多彩な作品を生みだし、ホラーというジャンルを切りひらいてきたこの賞を締めくくる第25回は、初めて2作が大賞となった。古代エジプトの呪いにまつわる福士俊哉さん(58)の『黒いピラミッド』(KADOKAWA)と、読者賞とのダブル受賞となった秋竹サラダさん(26)の学園ホラー『祭火小夜の後悔』(同)。2作の刊行を機に、年齢も作風も対照的な2人の著者に話を聞いた。

2018.11.28  大賞に冴知いゆ氏 川端康成青春文学賞

茨木市が創設した「川端康成青春文学賞」の大賞に、奈良県田原本町の大学4年生、冴知(さえぢ)いゆさん(22)の作品「地上○(まる)mから」が選ばれた。作品は月刊誌「中央公論」2月号に掲載される。

2018.11.28  【今週はこれを読め! エンタメ編】予想もつかない物語〜藤谷治『燃えよ、あんず』

どんな展開になっていくのか想像もつかない、という読書体験を久しぶりに味わった気がします。だいたいの小説は、読む前からどのような話なのかということは予想できるものではないでしょうか。『吾輩は猫である』→「猫が出てくるんだろうな」、『1973年のピンボール』→「1973年のピンボールの話なんだろうな」と、題名からでも見当がつくものもあります。

2018.11.24  このライトノベルがすごい!2019:電撃文庫「錆喰いビスコ」が総合・新作でW受賞 初の快挙

電撃文庫(KADOKAWA)のライトノベル「錆(さび)喰(く)いビスコ」が、宝島社がその年に人気のあったライトノベルを発表するムック「このライトノベルがすごい!2019」で文庫部門の総合、新作の2部門で首位に選ばれたことが24日、明らかになった。2004年から刊行されている同ムックで、同一作品が総合、新作の両方で首位に選ばれるのは初めて。

2018.11.21  【今週はこれを読め! エンタメ編】正反対っぽい女子ふたりの同居生活〜伊藤朱里『緑の花と赤い芝生』

女性の対人関係について世間でよく言われることとして、"既婚か未婚か、子どもがいるかいないかで、断絶が生まれやすい"というのがある。"なぜ男性の場合は、既婚未婚の別とかましてや子どもの有無とかが、差し障りにならないのだ!"というもの言いはひとまず措いておく(不公平ではあると思うものの。

2018.11.20  舟橋聖一文学賞に飯嶋さん 彦根市が発表

彦根市は十九日、第十二回舟橋聖一文学賞に、東京都内在住の飯嶋和一さん(65)の長編小説「星夜航行(せいやこうこう)」が決まったと発表した。舟橋聖一顕彰青年文学賞、小中学生と高校生が対象の舟橋聖一顕彰文学奨励賞の入賞者も発表され、併せて、十二月一日午後二時から、彦根ビューホテル(同市松原町)で授賞式がある。

2018.11.20  【今週はこれを読め! SF編】他者の記憶、自分の輪郭、宿痾もしくは恩寵としての共感

第五回創元SF短編賞を受賞した「風牙」からはじまる連作集。風牙(ふうが)というのは作中に登場する犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前である。しかし、実体があるわけではない。記憶のなかにいる犬である。少年がペットショップで出逢った、可愛い一匹。これから仲良しになるんだ。おじいちゃんが買ってくれて、風牙の名もおじいちゃんがつけた。

2018.11.15  文学:全米図書賞に多和田葉子さんの「献灯使」

米国の代表的な文学賞、全米図書賞が14日発表され、今年新設された翻訳文学部門で、ドイツ在住の作家で詩人の多和田葉子さん(58)の小説「献灯使」が選ばれた。

2018.11.14  【今週はこれを読め! エンタメ編】太宰治が現代日本にやってきた!〜佐藤友哉『転生! 太宰治』

最近は、彼らの著作以上に、文豪という存在そのものに注目が集まる世の中であるようだ。書店に行くと、文豪の人気ランキングや作家同士の友情や彼らが書いた恋文についてなどの本(美麗イラスト付きのものも多い)が売り場の一角を占めていることも。

2018.11.13  【今週はこれを読め! SF編】ITによって変貌しゆくアクチャルな未来を描いた連作集

ITの発展、およびそれを取りまく文化によって、変わりゆく近未来を描く連作。作中で用いられるのは空想的な超テクノロジーではなく、いま現実にあるツールやメソッドであり、主題となるのも、いまの世界が直面している(あるいは、これから不可避に直面するであろう)アクチャルな問題だ。そして、もっとも注目すべきは、それに取り組む主人公たちの行動原理である。

2018.11.11  【今週はこれを読め! ミステリー編】北アイルランド一匹狼刑事シリーズ第二弾『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』

出勤時、すべての警察官が車の底に爆弾がとりつけられていないか確認する。そしてけっこうな頻度で実際に爆弾を発見してしまい、失禁しながら処理班を呼ぶことになる。

2018.11.7  【今週はこれを読め! エンタメ編】町田康の素晴らしき猫作品集『猫のエルは』

前回に続き、猫本を。昨年だったか、"統計を取り始めて以来初めて、犬よりも猫の方が多く飼われるようになった"的なニュースに目を引かれた。

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