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2021.7.30 【今週はこれを読め! ミステリー編】魅力的な主人公コンビが誕生!〜マイケル・ロボサム『天使と嘘』
また一組の魅力的な主人公コンビが誕生した。
2021.7.27 【今週はこれを読め! SF編】つぎつぎに立ちはだかる困難を超えて火星へ
別な時間線の1950年代を設定して、宇宙飛行士を目ざす女性たちの奮闘を描いた『宇宙へ』の続篇。
2021.7.26 作家の読書道 第231回:佐藤究さん
今年『テスカトリポカ』が山本周五郎賞と直木賞を受賞、注目を集める佐藤究さん。幼い頃はプロレスラーになりたかった福岡の少年が、なぜ本を読み始め、なぜ小説を書き始め、なぜ群像新人文学賞受賞後に江戸川乱歩賞で再デビューしたのか。そしてなぜ資本主義について考え続けているのか。直木賞発表前の6月、リモートでおうかがいしました。
2021.7.14 第165回芥川賞は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』、直木賞は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定!
第165回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は7月14日(水)、都内で開催され、「芥川龍之介賞」は石沢麻依『貝に続く場所にて』、李琴峰『彼岸花が咲く島』に、「直木三十五賞」は佐藤究『テスカトリポカ』、澤田瞳子『星落ちて、なお』に決定した。
2021.7.6 【今週はこれを読め! SF編】日本SFにおけるマジックリアリズムの俊才
中井紀夫傑作選。なんとも嬉しい企画である。
2021.6.30 【今週はこれを読め! エンタメ編】三浦しをん『エレジーは流れない』で元気になる!
穂積怜は男子高校生。
2021.6.15 【今週はこれを読め! SF編】奇妙なタイムトラベル、石器時代の種族とともに生きる
1982年に発表、ネビュラ賞長篇部門を受賞したマイクル・ビショップの代表作。
2021.6.10 【今週はこれを読め! ミステリー編】ブロック編のアート・アンソロジー『短編回廊』
美しき罠、あるいは牢獄の展覧会と言うべきか。
2021.6.2 【今週はこれを読め! エンタメ編】残酷さと優しさが共存する短編集〜一穂ミチ『スモールワールズ』
読み終えて、人間って残酷で勝手だなと思った。だけど、その残酷さや勝手さは、優しさや思いやりみたいなものと共存し得るんだとも思った。
2021.6.1 【今週はこれを読め! SF編】マイリンク、シェーアバルト、ブラックウッド......夢幻の境地に踏みいる
『幻想と怪奇』は雑誌の体裁だが書店の扱いは書籍だ。毎号、特集形式を取っているので、実質的にアンソロジーといってよい。こんかいはドイツ幻想小説の紹介者として名高い種村季弘さんの未発表翻訳が発見され、それをきっかけに企画が練られたそうだ。
2021.5.27 【今週はこれを読め! ミステリー編】小心者バルバロッティ警部補が気になる!『殺人者の手記』
ホーカン・ネッセルきたきた。
2021.5.26 【今週はこれを読め! エンタメ編】おもちさん83歳の日々〜朝倉かすみ『にぎやかな落日』
私があと30年生き長らえることができれば、主人公のおもちさんと同年代になる。
2021.5.19 【今週はこれを読め! SF編】登場人物たちが暮らす秘密の図書館、書き換えられる初版本
犯罪小説、ホラー、ファンタジイと幅広く活躍するジョン・コナリーの短篇集。大部な原書Night Music: Nocturnes Volume 2から、書物や物語を題材とした四篇を選んでの邦訳だ。
2021.5.12 今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演
今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。
2021.5.11 今村夏子の小説「こちらあみ子」映画化、井浦新と尾野真千子が出演
今村夏子の小説「こちらあみ子」が映画化。井浦新と尾野真千子が出演することがわかった。
2021.5.6 【今週はこれを読め! SF編】ゴールドラッシュの小惑星で繰りひろげられるアクションSF
ロバート・シルヴァーバーグ『小惑星ハイジャック』(創元SF文庫)
2021.4.23 作家の読書道 第228回:阿津川辰海さん
大学在学中に『名探偵は嘘をつかない』でデビュー、緻密な構成、大胆なトリックのミステリで注目を浴びる阿津川辰海さん。さまざまな読み口で読者を楽しませ、孤立した館で連続殺人事件に高校生が挑む新作『蒼海館の殺人』も話題。そんな阿津川さん、実は筋金入りの読書家。その怒涛の読書生活の一部をリモートインタビューで教えていただきました。
2021.4.14 【今週はこれを読め! エンタメ編】料理とおみくじで一歩を踏み出す短編集〜冬森灯『うしろむき夕食店』
食べ物の描写がおいしそうな文章は、もうそれだけでありがたい。食は大事。栄養学的な観点からももちろんだけれど、単純においしいものを食べたときの格別な幸せを思うだけでも、食事の大切さは決してないがしろにできないと思う。...という意見に賛同してくださるあなたに、ぜひおすすめしたい本がございますのよ。
2021.3.31 【今週はこれを読め! エンタメ編】女たちの喪失と希望の物語〜ジュリア・フィリップス『消失の惑星』
幼い姉妹が八月の午後を過ごしている海辺の描写に、まずやられる。どちらかというと風景の描き方といったものに注意を払わない無粋な人間がそういう部分に目を留めるとき、その小説は傑作だと思って間違いない。母から妹の面倒をみるようにとの指示に倦んでいる姉と、年齢のわりには無邪気な妹。そして、足を怪我したと語る男。読者の胸にゆっくりと不穏さが忍び込んでくる。「行ってはだめだ、行くな」という我々の焦りは、彼女たちに届かない。
2021.3.17 【今週はこれを読め! エンタメ編】重厚かつトリッキーな丸山正樹『ワンダフル・ライフ』
今回ご紹介する本は、【エンタメ編】という枠で取り上げるには少々ハードな内容かもしれない。気難しい障害者の妻と介護に疲れた夫の息が詰まるような生活ぶりを、読者は冒頭からさっそく読むことになる。
2021.3.1 【今週はこれを読め! ミステリー編】死と生が表裏一体の短篇集『丸い地球のどこかの曲がり角で』
滅びの唄が聴こえる。
2021.2.26 「魔法のiらんど 小説&コミック大賞」小説大賞・コミックシナリオ大賞の受賞作品が決定!
[株式会社KADOKAWA]
2021.2.18 【今週はこれを読め! エンタメ編】さまざまに変わっていく家族の物語〜窪美澄『ははのれんあい』
「母の恋愛」というものが描かれた作品なのかな、と思いながら読んだけれど(もちろんそこにも触れられるのだけれど)、何よりも家族というものについての小説だった。家族に恵まれている人も残念ながらそうでない人も、すべての人が読むべき作品だと思った。
2021.1.27 【今週はこれを読め! エンタメ編】女子高生バンド3人組の20年後の物語〜角田光代『銀の夜』
本書における主要人物は3人の女性。彼女たちが出会ったのは、幼稚園から短大までの一貫教育の女子校。ちづるは小学校から、麻友美は中学校から入学し、伊都子は中2のときの転入組だった。中3で同じクラスになった3人は、アマチュアバンドコンテストに出場する。急ごしらえのバンドの実力は圧倒的に不足していたものの、丈を短くした制服のスカートで歌う最年少出場者として注目された。タレント事務所から声がかかり、彼女たちのバンド「ひなぎく」は「ディズィ」としてデビューすることに。
2021.1.26 【今週はこれを読め! SF編】陰に隠れた幻想小説の水脈の発見
橋本勝雄編『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』(光文社古典新訳文庫)
2021.1.23 作家の読書道 第225回:町田そのこさん
2020年に刊行した『52ヘルツのクジラたち』が未来屋小説大賞、ブランチBOOK大賞を受賞するなど話題を集めている町田そのこさん。少女時代から小説家に憧れ、大人になってから新人賞の投稿をはじめた背景には、一人の作家への熱い思いが。その作家、氷室冴子さんや、読書遍歴についてお話をうかがっています。
2021.1.20 【今週はこれを読め! ミステリー編】「いーっ」となるミステリー『マイ・シスター、シリアルキラー』
いーっとなる小説。
2021.1.20 芥川賞は宇佐見りんさん・直木賞は西條奈加さん
芥川賞と直木賞の選考会が開かれ、芥川賞に宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」が、直木賞に西條奈加さんの「心淋し川」(うらさびしがわ)が、それぞれ選ばれました。
2021.1.5 【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー
もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。
2020.12.29 【今週はこれを読め! ミステリー編】私立探偵スカダーの長い歩み『石を放つとき』
私立探偵小説のすべてがここに詰まっている。
2020.12.23 【今週はこれを読め! ミステリー編】満身創痍の探偵ハリー・ホーレを読むべし!
満身創痍という四文字がこれほど似合う男はいない。
2020.11.18 【今週はこれを読め! エンタメ編】絵にすべてを懸けた絵師の姿〜谷津矢車『絵ことば又兵衛』
みんなちがって、みんないい。金子みすゞが命を削るようにして紡いだ言葉は、いまだ人々の心を完全に改めさせるには至っていない。まして、個性や多様性といったものが共通認識とされていなかった時代には、他者の身体面や行動面における特徴をあげつらうのにいま以上に躊躇がなかったのではないだろうか。
2020.11.4 【今週はこれを読め! エンタメ編】両角長彦『ある実験 一人選べと先生が言った』を一気読み!
マイケル・キートンが演じたときの「バットマン」がよかったと思うのだが、それはジャック・ニコルソンのジョーカーが好みだったからかもしれない。
2020.11.3 【今週はこれを読め! SF編】怪奇小説の伝統に棹さす、みごとな表現の四作品
作者クックはイギリスの作家。ミステリおよび怪奇小説・映画の研究家でもあり、関連の学術著作がある。フィクションは、2017年に出版された本書が最初の単行本だ。四つの作品を収録する短篇集で、表題作「図書室の怪」が原稿用紙換算で300枚を超える中篇、のこり三篇は30~70枚弱の短篇という構成である。
2020.10.29 濱口竜介が村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」を長編映画化
「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」の濱口竜介が、村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」を長編映画化することが決定した。
2020.10.27 【今週はこれを読め! SF編】アルゴリズムの支配を逃れ、なお生き延びるすべ
2068年、グーグル(をはじめとするデジタルの覇者である巨大企業)が世界を掌握していた。日常に浸透したネットワークにより、市民のあらゆる情報は集積され、徹底した――しかし体感的にはマイルドな――常時監視社会が完成している。私たちの行為や嗜好はすべてグーグルに筒抜けだ。それが「透明性」というタイトルの意味だ。
2020.10.15 独占インタビュー「ラノベの素」 大森藤ノ先生『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2020年10月15日にGA文庫より『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』第16巻が発売された大森藤ノ先生です。TVアニメ第3期も10月より放送開始となる中、原作小説は新たな展開を迎える新章に突入します。2013年の『ダンまち』シリーズ刊行から約7年。過去から現在までを振り返り、作品との向き合い方や物語の立ち位置、そして本編から紐解くベル・クラネルをはじめとしたキャラクター達の成長に関するお話など、様々にお話をお聞きしました。ファン必見の『ダンまち』の今を語ります!
2020.10.14 【今週はこれを読め! エンタメ編】ひたむきヒロインのお仕事小説~中澤日菜子『働く女子に明日は来る!』
『働く女子に明日は来る!』(中澤日菜子/小学館)
2020.9.23 【今週はこれを読め! SF編】オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。
オリジナル・アンソロジー・シリーズの三冊目。七篇を収録。
2020.9.12 【今週はこれを読め! ミステリー編】耐え難いほどの孤独と向き合う『娘を呑んだ道』
夜の底を行く。
2020.9.8 【今週はこれを読め! SF編】迷路を進むと〈薄暮〉が追いかけてくる。歴史も人生も。
映画化された超大作『クラウド・アトラス』で知られるデイヴィッド・ミッチェルが、2014年に発表した長篇。世界幻想文学大賞を受賞した。
2020.8.4 【今週はこれを読め! SF編】埋もれた名作を発掘・再評価する意欲的アンソロジー
昨夏に刊行された短篇集『なめらかな世界と、その敵』(本欄でも紹介)によって、一躍、現代日本SFの最先鋭へと躍りでた伴名練。小説家のみならず、「読み手」としても飛びぬけた資質の持ち主だ。それを遺憾なく証明したのが、この二冊組のアンソロジーである。
2020.7.31 【今週はこれを読め! ミステリー編】おそるべき規模の物語アルネ・ダール『時計仕掛けの歪んだ罠』
何も信用できなくなって世界が剣呑に見えてくる。
2020.7.25 作家の読書道 第219回:今村翔吾さん
2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。
2020.6.23 【今週はこれを読め! ミステリー編】追い詰められた者の小説『その手を離すのは、私』
逃亡者、あるいは追い詰められた者の小説というべき作品である。
2020.6.10 【今週はこれを読め! ミステリー編】小説の暴力性を描く『念入りに殺された男』
暴力の小説であり、小説の暴力性についての物語でもある。
2020.6.9 【今週はこれを読め! SF編】前作から大きくスケールアップ、映像的表現の迫力
希代のストーリーテラー、マイクル・クライトンの疫病SF『アンドロメダ病原体』の続篇。宇宙由来の菌株(ただし生物的存在ではなく自己展開する「因子」と呼ぶのがふさわしい機序を示す)が、ふたたび人類を脅かす。
2020.6.3 【今週はこれを読め! エンタメ編】料理をめぐる実力派作家のアンソロジー『注文の多い料理小説集』
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、このところ何か月にもわたって我々はさまざまな不自由を耐え忍んでいる。
2020.4.29 【今週はこれを読め! エンタメ編】"最後の文士"の告白〜岩井圭也『文身』
主人公の庸一は、最初に就職した工場で自分の名前の漢字を聞かれて「凡庸の庸」と答えた。しかし、実際には凡庸どころの話ではない。須賀庸一という人間は、まぎれもなく希有な存在だと思う。
2020.4.28 【今週はこれを読め! SF編】一面に凍てついた世界を、ふたりで南へ。
投稿サイト発の『横浜駅SF』で日本SF大賞の候補になった著者の第一短篇集。六篇を収録している。
2020.4.1 【今週はこれを読め! エンタメ編】朝井リョウのタイアップ&コラボ短編集『発注いただきました!』
以前ある作家が「小説やエッセイを書くのは完全にお金のため」という趣旨の文章を書いておられるのを読んで(うろ覚えだが、概ねこういう内容だった)、衝撃を受けたことがある。作家というものは、"たとえお金にならなくても書くのをやめられない"人がなるものだと思っていたからだ。しかしながら、これは私が読者としてナイーブすぎた。それで生計を立てている以上、書くことと収入とは切っても切り離せない。そしてまた、依頼主からの注文があれば、書き手はその希望に沿って書くこともまた必要になってくるわけだ。
2020.3.27 2020年5月6日(水祝)「第三十回文学フリマ東京」開催中止のお知らせ
5月6日に開催を予定していた「第三十回文学フリマ東京」は、中止といたします。
2020.3.26 【今週はこれを読め! エンタメ編】最高の青春ライバル小説〜安壇美緒『金木犀とメテオラ』
「もう1作みたい」という言い方を、世間ではわりとよくする気がする。例えば芥川賞・直木賞といった文学賞の選考会で授賞を見送ったときの、「もう1作様子を見てから判断したい」という申し開き的な意味で。あるいはM-1やキングオブコントといった、予選で1本目・決勝で2本目のネタを披露するような大会において。こちらは「(もう1作みたいと思ったので)高い評価をつけた」という場合もあれば、「(もう1本みたかったのに)たいへん惜しい結果だったという場合もある。私も『天龍院亜希子の日記』を読んだときに、「もう1作読みたい!」と強く思ったものだ。「次の作品もおもしろいに違いない」という確信に近い予感によるものだったが、本書を読んで自分の読みに狂いはなかったと大満足である。
2020.2.12 【今週はこれを読め! エンタメ編】ツンデレ皇子と猫の活躍譚〜渡辺仙州『天邪鬼な皇子と唐の黒猫』
全国のネコ部ならびにツンデレ好きのみなさん、我々の大好物が小説という形をとって現れましたよ! 中国の王朝が唐であった時代、蘇州に1匹の黒猫がいた。物心ついた頃から親兄弟はおらず、ずっとひとりで生きてきたという。自らを「頭がよくてケンカも強い」と称する彼は、「体も大きくなく、どちらかといえば力も体力もない。それでも負けたことがないのは、たたかい方をうまれつき理解していたからだ」と語る。そう、かの黒猫は「兵法」を知り、さらには人語を理解する猫だったのだ。
2020.2.3 【今週はこれを読め! ミステリー編】日常が断絶し、不安が形をとる短編集〜ブッツァーティ『怪物』
世界が抱えている根源的な不安を形にするとディーノ・ブッツァーティの小説になる。
2020.1.29 【今週はこれを読め! エンタメ編】将棋盤を挟んだ少女と元棋士の対話〜尾﨑英子『竜になれ、馬になれ』
これを題材にした本(漫画、映画、などなど)はスルーできない、というポイントは人それぞれであろう。私の場合は、「駅伝」と「将棋」。シーズンがだいたい秋〜冬場と決まっている駅伝と違って、将棋は一年中何かしらのタイトル戦やその予選・決勝リーグ的なものが途切れることなく行われている。大一番というときでなくても常にトレーニングや鍛錬を続けているのは同じだろうし、駅伝のように時期が集中していれば楽だなどとは決して思っていないが、成績が上位のプロ棋士ほど年間を通していくつものリーグ戦を同時進行で戦わなければならないとなると将棋ってほんとに過酷な世界だなと圧倒される。
2020.1.25 【今週はこれを読め! ミステリー編】〈ミレニアム〉シリーズ、堂々完結!
『ミレニアム6 死すべき女』はダヴィド・ラーゲルクランツによる新〈ミレニアム〉三部作の最終章にあたる作品だ。ご存じのとおり〈ミレニアム〉三部作の著者はスウェーデン生まれの作家スティーグ・ラーソンだが、彼は作品を書き上げたあとの2004年に亡くなってしまった。2005年に刊行が始まると過去に例がないほどの売り上げを記録し、全世界で翻訳されてベストセラーとなった。ドイツなどの近隣諸国にまで影響を与え、文字通り北欧ミステリーを変えた里程標的作品となったのである。
2020.1.25 作家の読書道 第214回:凪良ゆうさん
引き離された男女のその後の時間を丁寧に描く『流浪の月』が大評判の凪良ゆうさん。もともとボーイズラブ小説で人気を博し、『神さまのビオトープ』で広い読者を獲得、新作『わたしの美しい庭』も好評と、いま一番勢いのある彼女ですが、幼い頃は漫画家志望だったのだとか。好きだった作品は、そして小説を書くようになった経緯とは。率直に語ってくださっています。
2020.1.15 芥川賞に古川さん「背高泡立草」 直木賞に川越さん「熱源」
第162回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞は古川真人さんの「背高泡立草」、直木賞は川越宗一さんの「熱源」が、それぞれ選ばれました。
2020.1.15 【今週はこれを読め! エンタメ編】想像のななめ上を行く展開にびっくり〜町田そのこ『うつくしが丘の不幸の家』
『うつくしが丘の不幸の家』。果たしてどのような物語だろうか。「うつくしが丘」という地名は素敵な感じ、しかしより注目すべきは「不幸の家」というキーワードだろう→「不幸」というからには不幸なのだろう。...ということで、私が想像したのはイヤミスだった。
2019.12.24 【今週はこれを読め! SF編】寄稿者の持ち味が十二分に発揮されたオリジナル・アンソロジー
創元SF短編賞出身作家を中心に編まれたオリジナル・アンソロジー《Genesis》の第二巻。第一巻『一万年の午後』(http://www.webdoku.jp/newshz/maki/2019/01/08/144902.html)と同様、ホームグラウンドだけに、寄稿者それぞれが自分の持ち味をのびのびと発揮している。
2019.12.10 【今週はこれを読め! SF編】複雑にもつれる多民族・多文化の未来史
アリエット・ド・ボダールは2006年から作品発表をはじめ、これまでにネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞を受賞し、各種の年刊SF傑作選へも多くの作品が採られている、旬の作家だ。彼女がデビュー直後から書きついでいるシリーズ《シュヤ宇宙》は、コロンブスと同時期に中国人がアメリカ大陸に到着し、独自の植民地文化を発展させた時間線上に展開する、長大なスケールの人類史だ。本書は、同シリーズこれまでに発表された31作品のうちから、9作品を選んで訳出した日本オリジナル短篇集だ。
2019.12.4 【今週はこれを読め! SF編】斬新なアイデアで展開される、決定論と自由意志をめぐる哲学的洞察
今年五月に原書刊行されたばかりのテッド・チャンの第二短編集。この早さでの邦訳は嬉しい。(12月4日発売)
2019.12.3 【今週はこれを読め! エンタメ編】複雑さを抱えた私たちを描く短編集〜朝井リョウ『どうしても生きてる』
初期の作品から読んできた作家が飛躍するさまを目の当たりにするのは、読者としても大きな喜びである。いや、飛躍という表現は適切ではないかもしれない。その作家、朝井リョウはずっと高く飛び続けてきた才能の持ち主だったのだから。
2019.12.2 芦田愛菜が5年ぶり実写映画主演、大森立嗣が今村夏子の小説「星の子」映像化
芦田愛菜主演、大森立嗣監督で今村夏子の小説「星の子」が映画化されることがわかった。
2019.11.27 【今週はこれを読め! エンタメ編】大学生作家と競歩選手の成長小説〜額賀澪『競歩王』
この秋、日本はラグビー人気に沸きに沸いた。しかしながら、同時期に行われた世界陸上競技選手権においては、競歩の選手が2つもの金メダルを獲得したこともどうか覚えておいていただきたい。競歩では鈴木雄介選手が50kmで、山西利和選手が20kmでそれぞれ優勝した。ラグビーのように豪快なスクラムやすばやいトライやチームメイトとの熱い抱擁などは、競歩にはないものである。ひたすら選手たちが歩き続ける競技なのだ、独特のフォームで。
2019.11.25 「このライトノベルがすごい!2020」首位を電撃レーベルが独占!『七つの魔剣が支配する』&『Unnamed Memory』が1位を獲得
「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社)にて、電撃文庫刊『七つの魔剣が支配する』が「文庫部門」第1位を、電撃の新文芸刊『Unnamed Memory』が「単行本・ノベルズ部門」第1位に輝いた。
2019.11.20 【今週はこれを読め! エンタメ編】亭主関白な夫の成長物語〜坂井希久子『妻の終活』
夫と自分のどちらが先立つだろうかということについては、ときどき考える。私の知る身近な夫婦(実の両親や祖父母)は圧倒的に妻が残されるというパターンが多かったため、これまではなんとなく自分たちもそうなるのではという気がしていた。しかし、こればっかりはどうなるかわからないということを、この小説によって思い知らされた。
2019.11.19 【今週はこれを読め! SF編】遍歴のなかで次々と物語内人物に重なる、ロマンチックな異界往還譚
アメリカの怪奇幻想文学史を概観した資料を読むと、日本ではさほど知られていないものの、〈ウィアード・テールズ〉以前の時期に活躍した重要作家としてかならず言及されている人物がいることに気づく。ひとりはロバート・W・チェンバース、もうひとりがこのジェイムズ・ブランチ・キャベルだ。
2019.11.10 【今週はこれを読め! ミステリー編】『生者と死者に告ぐ』の執拗な語りに唸る!
あれあれ、ネレ・ノイハウスってこんなにおもしろかったけ。
2019.11.6 【今週はこれを読め! エンタメ編】鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!
「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。
2019.10.31 【今週はこれを読め! ミステリー編】恐怖の飛行機アンソロジー『死んだら飛べる』
高いのこわい、狭いのこわい。
2019.10.26 作家の読書道 第211回:又吉直樹さん
お笑い芸人として活躍する一方で読書家としても知られ、発表した小説『火花』で芥川賞も受賞した又吉直樹さん。著作『第2図書係補佐』や新書『夜を乗り越える』でもその読書遍歴や愛読書について語っていますが、改めて幼少の頃からの読書の記憶を辿っていただくと、又吉さんならではの読み方や考察が見えてきて……。
2019.10.22 【今週はこれを読め! SF編】謎解きミステリと時間SFとのあまりにみごとな融合
鮎川哲也賞を受賞したデビュー作。時間SFとパズラーを組みあわせた意欲作。タイムトラベルも本格推理も、破綻なくストーリーを語り進め、読者の予想を超える結末にたどりつくためには、強度のあるロジックが要求される。本作は、その要件を高いレベルでクリアしている。途中、登場人物が奇異に思える行動に出る場面もあるけれど、それはその人物の来歴や性格によるものとして、じゅうぶん了解可能だ。
2019.10.18 【特集】『弱キャラ友崎くん』×『千歳くんはラムネ瓶のなか』最新刊同時発売記念 屋久ユウキ×裕夢 青春ラブコメ対談インタビュー
2019年10月18日に『弱キャラ友崎くん』第8巻、『千歳くんはラムネ瓶のなか』第2巻が同時発売となった。このたび2作品の最新刊発売を記念して、両作品の著者である屋久ユウキ先生と裕夢先生をお招きし、青春ラブコメ対談インタビューとしてお話をお聞きした。両作品は小学館ライトノベル大賞にて「優秀賞」を受賞すると共に、キャラクターや物語において「リア充」という存在も欠かせない共通点として有している。お互いの印象から各作品のキャラクターに込められた想い、地元を物語の舞台にした理由など幅広く語っていただいた。
2019.10.15 【今週はこれを読め! SF編】異常な光景の描写と巧みなストーリーの背後に、アメリカの歪みや傷を映しだす
四つの中篇を収録した作品集。空想的要素の度合いとその扱いは、作品ごとに違っている。
2019.10.9 【今週はこれを読め! エンタメ編】読まずにいられない小説〜遠田潤子『廃墟の白墨』
遠田潤子の小説を好きか、と聞かれたらなんと答えればよいのか迷う。手放しで共感できる登場人物も少ないし、描かれる状況も積極的に身を置きたくないシチュエーションがほとんどだ。だから、私にとって遠田作品は好き嫌いとは異なる次元にある。読まずにいられないから読むものなのである。
2019.10.7 【今週はこれを読め! ミステリー編】失われた人生のシークエンスを探す冒険行『戦下の淡き光』
こんなことが本当に起こりえたのかという人生の瞬間についての小説だ。
2019.10.1 【今週はこれを読め! SF編】有無を言わせぬ怒濤の展開! 正調ワイドスクリーン・バロック!
ブライアン・W・オールディスが激賞、この作品のために「ワイドスクリーン・バロック」なるサブジャンル呼称を提唱までした話題作がついに翻訳された。
2019.9.28 作家の読書道 第210回:町屋良平さん
今年1月、ボクサーが主人公の『1R1分34秒』で芥川賞を受賞した町屋良平さん。少年時代から「自分は何か書くんじゃないか」と思っていたものの、実は、10代の頃はなかなか本の世界に入り込むことができなかったのだとか。そんな彼が、読書を楽しめるようになった経緯とは? スマホで執筆するなど独特の執筆スタイルにも意外な理由がありました。
2019.9.27 【今週はこれを読め! ミステリー編】著者自身がワトソン役の謎解き小説『メインテーマは殺人』
一口で言うなら信頼関係がないホームズとワトスンなのである。
2019.8.27 【今週はこれを読め! SF編】ゲンロン出身作家の意欲作から、ベテラン津原泰水の傑作戯曲まで
オリジナルアンソロジー・シリーズ《NOVA》の最新刊。前巻より、雑誌のような巻号表記となった。
2019.8.24 作家の読書道 第209回:吉川トリコさん
2004年に「ねむりひめ」で第3回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞を受賞した吉川トリコさん。以来、映像化された『グッモーエビアン!』や、あの歴史上の女性の本音を軽快な語り口で綴る『マリー・アントワネットの日記』、そして新作『女優の娘』など、女性、少女を主なモチーフにさまざまな小説を発表。その作風に繋がる読書遍歴を語ってくださいました。
2019.8.19 【今週はこれを読め! ミステリー編】不安に満ちたサスペンス『ケイトが恐れるすべて』
初めての街で暮らすとき、誰もが現実感を少し失う。
2019.7.31 【今週はこれを読め! エンタメ編】〈ぐるフェス〉に集うさまざまな人生〜中澤日菜子『お願いおむらいす』
食の記憶が思い出と密接に結びついていることは多い。オムライスに関して言うなら、今となっては祖母が作ってくれたものが懐かしい。実はとびきりおいしいというものではなかったのだが(祖母は決して料理下手ではなかったけれども、玉ねぎを根気よく炒める根気には欠けていたように思う。カレーなども玉ねぎが生っぽいのがネックだった)。しかし家庭料理というものは、孫に「子どもが喜ぶような食べ物を作ってやりたい」という気持ちがあればそれで十分ともいえるのではないか。
2019.7.24 【今週はこれを読め! エンタメ編】図書館が"見て"きた人々〜中島京子『夢見る帝国図書館』
このような文章を書く仕事をさせていただいている身なれば、原則として本は買って読むべきものであることは重々承知しているが、私は図書館も大好きなのである。実家は率直に言って貧乏な家庭だったので、もし図書館や学校の図書室がなかったら、私はどうやって本を読む手段を得ることができたかわからない。
2019.7.16 ピース又吉の恋愛小説『劇場』が映画化 主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優の同い年コンビ
長編デビュー作『火花』で第153回芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の受賞後第1作となる小説『劇場』が、映画化されることが決定し、松竹とアニプレックスの共同配信で公開。行定勲監督がメガホンを取り、主演は山崎賢人(24)、ヒロインは松岡茉優(24)の"同い年コンビ"が務めることが発表された。
2019.7.12 【今週はこれを読め! ミステリー編】『IQ2』が拓くフェアネスの物語
犯罪小説の新しい潮流が来ている。
2019.7.10 【今週はこれを読め! エンタメ編】フレッシュな執筆陣のアンソロジー『行きたくない』
人はさまざまなシチュエーションで、さまざまな場所やイベントについて「行きたくない」と感じるものだと思う。内気で引っ込み思案だった私は、小学校の入学式や引っ越し先の学校での登校初日に「行きたくない」と思ったし、会社員生活にも不安を抱いていたので入社式にも「行きたくない」と感じた。そうした節目に限らず、友だちとトラブルがあっても学校に「行きたくない」し、定期テストや運動会でも「行きたくない」という気持ちになった。こうして並べてみると改めて数々のパターンがあることに感心させられるが、本書には私の想像など軽く凌駕する「行きたくない」が収められていた。
2019.7.9 【今週はこれを読め! SF編】何度も滅びて再興する三体世界の文明、それが地球にもたらすもの
質・量ともに中国の現代SFの隆盛がめざましい。その頂点に位置するメガヒット作が本書『三体』だ。もとはSF専門誌〈科幻世界〉に連載されたもので、2008年に単行本が刊行。続篇の『黒暗森林』『死神永生』と併せ、これまでに2100万部を売り上げたとも言われている。ケン・リュウの手による英訳版はヒューゴー賞を射止めた。おそらく今世紀に入ってからいままでのSFシーンにおいて最高の話題作だ。
2019.7.5 《GA文庫大賞》大賞作『処刑少女の生きる道 ―そして、彼女は甦る―』佐藤真登インタビュー
ライトノベルファン待望の本格異世界ファンタジー!〈処刑人〉の少女と〈迷い人〉の少女。殺す側と殺される側の必然の出会いは予期せぬ友情へと展開する――。殺伐とした世界を生き抜く少女メノウと、彼女を取り巻く個性豊かな女性たちが織りなす生と死のドラマ。《GA文庫大賞》7年ぶりの大賞作が満を持してここに登場!
2019.7.4 【今週はこれを読め! ミステリー編】無敵の100歳が大暴れ!『世界を救う100歳老人』
あれ、もしかしてこれ、ものすごくタイムリーな小説なのでは。
2019.7.3 【今週はこれを読め! エンタメ編】ホッパーの絵の豊かな表情を映す『短編画廊 絵から生まれた17の物語』
名画とそれにインスパイアされた小説が収録された本というのはそんなに珍しいものではない気がするが、それらがすべてエドワード・ホッパーに関するものであるというところが本書の新機軸ではないだろうか。「エドワード・ホッパー」と聞いてもどのような画家であるかという知識はおぼろげだったのだが、深夜の飲食店にいる人々が描かれた「ナイトホークス」を見て「ああ!」とわかった。ホッパーの絵というのは一見無機的なようで、よく見るととても豊かな表情がある絵だと思う(人物が描かれていないときでさえ)。
2019.6.25 【今週はこれを読め! SF編】もはやそれほど危険ではないが、アイデア・ストーリーとして面白い
アメリカSFはその揺籃期(二十世紀の幕開けから1920年代)において、科学技術ホビイストあるいはティーンエイジャーむけの大衆文芸として発展してきた。その後、1930年代末の〈アスタウンディング〉誌でのキャンベル革命、1950年代初頭の〈F&SF〉や〈ギャラクシー〉での文芸的洗練があり、読者層も大きく広がるのだが、作品が扱うテーマや表現面における自己検閲(作家自身による、または編集者による)は根強く残っていた。SF界の風雲児ハーラン・エリスンは、そうした風潮に敢然と叛旗を翻し、このオリジナル・アンソロジーを企画した。
2019.6.22 作家の読書道 第207回:最果タヒさん - 作家の読書道
作家の読書道 第207回:最果タヒさん
2019.6.18 【今週はこれを読め! SF編】狂気が漂う異様な作品ばかりの短篇集
一部の読書家のあいだでひっそりと語りつがれてきた飛びきりの異色作品を掘りおこす叢書《ドーキー・アーカイヴ》のうちでも、刊行前からとくに楽しみにしていたのが、このジョン・メトカーフの短篇集である。それまでアンソロジーに収録された作品をポツポツ読み、物語の底に狂気を湛えた、いつまでも覚めやらぬ悪夢のような読後感に、いったいどんな作家なのかと気になっていたからだ。この作者の作品は、正面から狂気をテーマにしているとはかぎらないが、作品空間にうっすらと漂う狂気の気配がある。気配なので形はなく、この部分が狂気だと示すことができない。
2019.6.10 【今週はこれを読め! ミステリー編】物語に呑み込まれるミステリー『国語教師』
ひさしぶりに物語を怖いと感じた。
2019.6.4 【今週はこれを読め! SF編】安定感のある古典と一筋縄ではいかない問題作
2016年に刊行された『ボロゴーヴはミムジイ』につづく、伊藤典夫翻訳SF傑作選の第二弾。前巻が時間・次元テーマの作品を集めていたのに対し、本巻は宇宙SFを集めている。
2019.5.24 【今週はこれを読め! ミステリー編】"世界一優秀な探偵"コール&パイク登場『指名手配』
あなたの世界にかぎ裂きができてしまい、涙にくれているとする。
2019.5.21 【今週はこれを読め! SF編】美のユートピアで繰り広げられる人間模様
『永遠の森 博物館惑星』の十九年ぶりの続篇。
2019.5.15 【今週はこれを読め! エンタメ編】時代を生き抜いた女たちの人生〜窪美澄『トリニティ』
"子どもや孫に囲まれて、畳の上で大往生"的な亡くなり方は理想とされやすい。裏を返すと、"看取ってくれる人もいないまま、孤独のうちに死ぬ"のは不幸とみなされるということだ。しかし、こういった固定観念のようなものにはずっと疑問を抱いてきた。私とてできるなら死ぬ間際に息子たちにひとめ会えたらうれしいし、そこに孫の姿もあれば申し分ないことだろう。しかし例えば、自分の心の求めるままに行動し思い残すことはないと感じられるまでの生き方ができたならば、その人の人生を不幸だったなどと誰が言えるだろうか?
2019.5.8 【今週はこれを読め! エンタメ編】ヘタレ准教授クワコーが帰ってきた!〜『ゆるキャラの恐怖』
クワコー先生の新刊が6年半ぶりに発売。って小学生なら卒業しちゃってるほど長い間、ほんとに待ってたヤツなんているのかって話。いや、いるか。需要もさまざまか。しかも今回、みうらじゅん人気も期待したいところ。なぜにみうらじゅん。でも、題名の「ゆるキャラ」でソッコー連想した人もいるに違いなし。あと、表紙のレイアウト? っての? が、いま激アツの『ジーヴズ』ともろかぶり。いや、オレは好き。同じ出版社から出すなら、そりゃかぶせるっしょ。あえてのかぶせで行くっしょ。
2019.5.7 【今週はこれを読め! SF編】間近にあるディストピア、奪われた声をいかに取り戻すか
舞台は近未来のアメリカ。いや、近未来というよりも、現代というべきだろう。ここに描かれた事態は、アメリカでまさに進行中の悪夢だ。保守化、パターナリズム、押しつけの道徳、差別の正当化。
2019.4.23 【今週はこれを読め! SF編】天皇機関vs.粘菌機関 特撮映画のような痛快活劇
カバー袖の登場人物一覧が絢爛豪華だ。南方熊楠、福来友吉、江戸川乱歩、西村真琴、佐藤春夫、宮澤賢治、石原莞爾、北一輝、......。
2019.4.23 第16回 坊っちゃん文学賞 作品募集開始 ショートショートの文学賞にリニューアル 審査員に田丸雅智さん、大原さやかさん、山戸結希さんが決定!
株式会社パシフィックボイスはこのたび、「松山市 - 第16回 坊っちゃん文学賞」の運営業務を受託し、4月23日より短編小説の公募を開始いたします。 「坊っちゃん文学賞」は、市制100周年を機に、近代俳句の父・正岡子規を生み、明治の文豪・夏目漱石の小説『坊っちゃん』に描かれた街という、松山市の豊かな文化的土壌をいかして、新しい青春文学の創造と本市の文化的なイメージを高め、全国にPRするため昭和63年に創設しました。
2019.4.19 【今週はこれを読め! SF編】第一級の脱出不可能ミステリー『火星無期懲役』
火星は地獄だ!(ジョン・W・キャンベル風に)
2019.4.17 【今週はこれを読め! エンタメ編】不穏な青春ミステリー〜浅倉秋成『教室が、ひとりになるまで』
最近の若者たちがどのように感じるかはわからないが、私くらいの世代だと"結婚相手との出会いのきっかけはSNS"という事例に対してまだまだ若干の驚きを禁じ得ない。
2019.4.10 出版取り次ぎ大手の日販とトーハン 発送業務などで協業へ
長年のライバルだった出版取り次ぎ大手の日本出版販売とトーハン。出版をめぐる厳しい経営環境の中、あえて手を組み、新刊の書籍の発送業務などについて協業を進めていくことになりました。
2019.4.9 「2019年本屋大賞」決定!! 大賞は瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』 全ノミネート作の順位を発表!
全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞2019」の受賞作が決定した。
2019.4.9 【今週はこれを読め! SF編】はかない記憶と傷つく身体のエロティシズム
オリジナルアンソロジー『NOVA 5』に発表した短篇SF「愛は、こぼれるqの音色」と、書き下ろしの長篇ミステリ『密室回路』を対にして収めた一冊。物語はそれぞれ独立しているが、設定は共通しており、テーマ面でも強い結びつきがある。
2019.4.3 【今週はこれを読め! エンタメ編】"本好きの夢"の行方〜ペネロピ・フィッツジェラルド『ブックショップ』
街の本屋さんがどんどん減っていっていることは、特に本好きでない人でも気がつくくらい深刻な問題ではないだろうか。大型書店はもちろん素晴らしい。
2019.4.2 【今週はこれを読め! SF編】いつか卑徒(ひと)になる日まで
酉島伝法のデビュー作「皆勤の徒」は衝撃だった。同作を巻頭に収めた同題の連作集は、第三十四回日本SF大賞を射止めた。選考委員ほぼ全員が一致しての受賞決定である。また、〈本の雑誌〉で二〇一五年におこなった「21世紀SFベスト100」(選者は鏡明、大森望、牧眞司)でも堂々の第一位に選出された。まさに怪物的作品といえよう。
2019.3.26 【今週はこれを読め! SF編】それでもなお、ひとは自由意志を希求する
ピーター・ワッツの長篇『ブライントサイト』の衝撃は忘れがたい。知性にとって意識は必然的なものではない。この大前提に、まず痺れた。
2019.3.20 【今週はこれを読め! エンタメ編】心をざわつかせる短編集〜今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』
第1話「白いセーター」を読んで、忘れられない記憶がよみがえってきた。
2019.3.13 第10回 野性時代フロンティア文学賞 選考結果のお知らせ
本日3月13日(水)午後4時より、第10回野性時代フロンティア文学賞(主催=株式会社KADOKAWA)の選考会が行われました。
2019.2.26 【今週はこれを読め! SF編】総統になりそこねた男の「わが捜査」
「その女性は、いかにも知的なユダヤ女という顔つきをしていた」という、私立探偵のモノローグからはじまるハードボイルドである。彼女は、行方不明になった妹を捜してほしいという。それ自体は、よくある依頼だ。
2019.2.9 独占インタビュー「ラノベの素」 渋谷瑞也先生『つるぎのかなた』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2019年2月9日に電撃文庫より『つるぎのかなた』が発売された渋谷瑞也先生です。第25回電撃小説大賞にて《金賞》を同作で受賞し、満を持してデビューされます。剣道を知らなくてもいい、読み終えた後に剣道がわからなくても構わない。ただこの物語を面白いと感じてもらえればそれでいい。剣道という舞台から降りた"元最強"と、孤独に頂点で君臨し続ける"現最強"が激突する時、少年少女たちの心情にどんな変化が訪れることになるのか、物語の内容や見どころについてお聞きしました。
2019.1.30 今週はこれを読め! エンタメ編】本とお酒と謎がうれしい『九十九書店の地下には秘密のバーがある』
これまでにも著者の岡崎琢磨さんは『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(宝島社文庫)を第一作とするシリーズや『春待ち雑貨店ぷらんたん』(新潮社)などで趣のあるさまざまな店を舞台にされてきたが、読者にとっては本書が最高峰といっていいのではないだろうか。なんといっても書店である。それも、地下にバーがある書店だ。本とお酒が好きな人にはたまらないだろう(巻末にはそれぞれの短編で言及された作品名リストが掲載されているのも、読者にはうれしい趣向。私自身はほぼ下戸なので、地下の店はフルーツパーラーか甘味処だったらさらに喜ばしいけれど)。しかも、ここにはもうひとつ見逃せないボーナスポイントがある。それは書店およびバーに、魅力的な謎がセットになっていることだ。
2019.1.22 気になる大賞はどの作品に!?「2019年 本屋大賞」ノミネート10作品発表!
2019年1月22日(火)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2019年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。
2019.1.14 芥川賞後、廃人気分の作家に 将棋界から突然のオファー
作家 高橋弘希さんの寄稿
2019.1.7 【今週はこれを読め! ミステリー編】背中がぞわぞわする『ピクニック・アット・ハンギングロック』
あけましておめでとうございます。
2018.12.26 【今週はこれを読め! ミステリー編】黒人テキサス・レンジャーの闘い『ブルーバード、ブルーバード』
朝から嫌なことがあり、感情を抑えるのに苦労しながら一日を過ごした。
2018.12.24 独占インタビュー「ラノベの素」 林星悟先生『人形剣士<ドールブレイブ>は絶ち切れない』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年12月25日にMF文庫Jより『人形剣士<ドールブレイブ>は絶ち切れない』が発売となる林星悟先生です。第14回MF文庫Jライトノベル新人賞にて「最優秀賞」を同作で受賞し、満を持してデビューされます。いくつものテーマが組み木のように重なり合い、人形遣いの剣士と人形のヒロインによるバディものとしても強烈な魅力を詰め込んだ本作。一つの視点からだけでは語りきれない本作の魅力や作品の見どころについてお聞きしました。
2018.12.22 作家の読書道 第201回:古内一絵さん
映画会社に勤務したのち作家デビューを果たし、さまざまな舞台を選んで小説を執筆している古内一絵さん。ドラァグクイーンが身体にやさしい夜食を出してくれる「マカン・マラン」もいよいよ完結、今後の作品も楽しみなところ。では、どんな読書体験を経て、なぜ小説家へ転身を果たしたのか。その転機も含めて読書遍歴をおうかがいしました。
2018.12.21 青春と読書
対談 米澤穂信×青崎有吾
2018.12.20 【エンタメ小説月評】武家の悲喜 巧みな構成
ああ、うまいものだ――。朝井まかて『草々不一』(講談社)を読みながら、何度そう思ったことだろう。いい塩梅なのだ。武家の悲喜こもごもを描く短編8本を収めるが、語るべきことは存分に語り、余分は記さない。だから一編一編は短くとも、登場人物の人生が確かな手応えをもって伝わってくる。
2018.12.12 【今週はこれを読め! エンタメ編】ひりひりした青春の共同生活〜丸尾丸一郎『さよなら鹿ハウス』
気心が知れた仲間同士で共同生活する物語が気になる(『赤毛のアン』シリーズでは、アンが大学の友だちと家を借りて住む『アンの愛情』がいちばん好き)。
2018.12.11 入場料1500円の本屋 検索機なし、50音順に並べず
東京・六本木の青山ブックセンターの跡地で11日、入場料1500円を支払う書店「文喫(ぶんきつ)」が開店した。出版不況のなか、本の販売以外の新たなビジネスモデルを探ろうと入場料制を導入。付加価値のある空間を目指すという。
2018.12.8 「娘を殺した母親は、私かもしれない」――柴咲コウ主演で角田光代『坂の途中の家』ドラマ化
角田光代の大人気小説『坂の途中の家』が、2019年春からWOWOWで連続ドラマ放送決定。特報映像も公開され、ファンからは「これは待ち遠しすぎる!」と歓喜の声が上がっている。
2018.12.5 【今週はこれを読め! エンタメ編】かけがえのない家族と介護の物語『有村家のその日まで』
私の母が亡くなったのは3年前の元日である。認知症が出始めてから5年ほどたったところで、さらにガンも発症していた。
2018.12.4 【今週はこれを読め! SF編】ガンマ線バーストでも終わらない世界のために
第六回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。六篇の連作からなり、遠い未来が舞台だ。もはや人間は肉体にしばらておらず、思うがままに精神をアップロードできる(これが表題の「トランスヒューマン」たる所以)。「童話」をうたっているのは、誰もが知っているような童話を下敷きにしているからだ。
2018.11.24 作家の読書道 第200回:白岩玄さん
『野ブタ。をプロデュース』で鮮烈なデビューを飾り、その後着実に歩みを続け、最近では男性側の生きづらさとその本音を書いた『たてがみを捨てたライオンたち』が話題に。そんな白岩さん、実は少年時代はほとんど小説を読まず、作家になることは考えていなかったとか。そんな彼の心を動かした小説、そして作家になったきっかけとは?
2018.11.24 このライトノベルがすごい!2019:電撃文庫「錆喰いビスコ」が総合・新作でW受賞 初の快挙
電撃文庫(KADOKAWA)のライトノベル「錆(さび)喰(く)いビスコ」が、宝島社がその年に人気のあったライトノベルを発表するムック「このライトノベルがすごい!2019」で文庫部門の総合、新作の2部門で首位に選ばれたことが24日、明らかになった。2004年から刊行されている同ムックで、同一作品が総合、新作の両方で首位に選ばれるのは初めて。
2018.11.20 【今週はこれを読め! ミステリー編】過去に復讐される男のサスペンス『ホール』
過去は取り戻せない。
2018.11.11 【今週はこれを読め! ミステリー編】北アイルランド一匹狼刑事シリーズ第二弾『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』
出勤時、すべての警察官が車の底に爆弾がとりつけられていないか確認する。そしてけっこうな頻度で実際に爆弾を発見してしまい、失禁しながら処理班を呼ぶことになる。
2018.11.9 【コラム】 アニメ化決定!「俺を好きなのはお前だけかよ」最速インタビュー! シリーズ最新「俺好き10巻」情報も!
電撃文庫のラブコメ「俺を好きなのはお前だけかよ」のTVアニメ化が発表!シリーズ構成と脚本を原作者:駱駝先生が担当され、アニメ公式サイトには『原作とは違うアニメだからこそ!』が。アニメは原作から改変するのかなどお訊きしました!(取材・文:かーずSP、協力:MyDearest、平和)
2018.11.6 【今週はこれを読め! SF編】日本SFが生んだ奇書、得体の知れぬ迷宮的作品
吃驚! ドッキリしゃっくり! 飛浩隆がこんなゲテゲテな小説を書くとは!
2018.11.5 【今週はこれを読め! ミステリー編】ナチス殺人医師の虚ろな精神『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡』
スリラーの名手ウィリアム・ゴールドマンに『マラソンマン』(ハヤカワ文庫NV)という作品がある。ナチの残党が主人公を拷問する場面があることで有名だ。健康な歯を歯科医のドリルで削るという想像するだけでも痛そうな拷問で、映画化作品では主人公をダスティン・ホフマン、ナチをローレンス・オリヴィエが演じた。
2018.10.27 作家の読書道 第199回:瀧羽麻子さん
京都を舞台にした「左京区」シリーズや、今年刊行した話題作『ありえないほどうるさいオルゴール店』など、毎回さまざまな作風を見せてくれる作家、瀧羽麻子さん。実は小学生の頃は授業中でも読書するほど本の虫だったとか。大人になるにつれ、読む本の傾向や感じ方はどのように変わっていったのでしょうか。デビューの経緯なども合わせておうかがいしました。
2018.10.24 【今週はこれを読め! エンタメ編】元恋人同士の猫との別れ〜向井康介『猫は笑ってくれない』
ふだんはあまり読まない恋愛小説(かどうかは読み手によって受け止め方はさまざまだと思うが、個人的には本書は恋愛ものに含まれると捉えている)を手に取ったのは、やはり「猫」に負うところが大きい。私自身は飼ったことがないので断言はできないが、きっと著者は猫に慣れておられるに違いない。登場人物たちも猫好きの占める割合が大きい。とはいえ本書における登場人物ならぬ登場猫・ソンは腎不全を患っており、徐々に弱っていく様子も描かれるので、愛猫家たちに手放しでは薦められないが。
2018.10.16 【今週はこれを読め! SF編】星間宇宙船という完全密室、被害者も容疑者も探偵役も自分たち
SFミステリ。航宙中の宇宙船は理想的な密室だ。外からは侵入できず、逃げてもいけない。まあSFだからと開き直り超常的あるいはガジェット的な要素を足して、その前提を覆すことも可能だが、それをやったらミステリの要件がガバガバになる。『六つの航跡』はそういう抜け道をせず、こと「密室」の成立に関してはじゅうぶんフェアだ。
2018.10.10 【今週はこれを読め! エンタメ編】小嶋陽太郎の"大化け"短編集『友情だねって感動してよ』
変態...! 本書を読み終えて、真っ先に心に浮かんだ言葉である。いわゆる一般的に使用されるような性的嗜好について揶揄しているわけではない(そういった意味合いでの変態性も感じられなくはない短編集ではあるが)。生物が形態を変えるように、小嶋陽太郎という作家の新たなる資質が顕在化したという意味であり、俗に言う"大化けした"という状態。私が思っていたよりもはるかに(低く見積もっていたということは断じてないにもかかわらず)、小嶋陽太郎は逸材だった。
2018.10.7 村上春樹さん ニューヨークで創作活動を語る
世界的な人気作家の村上春樹さんがニューヨークで行われたイベントに登場し、ユーモアを交えながら自身の創作活動について語りました。
2018.9.26 【今週はこれを読め! エンタメ編】将棋と家族の40年の物語〜桂望実『僕は金になる』
ネットなどで最初にうまい言い回しを思いついた人(見知らぬ人だけど)にはつねづね畏敬の念を抱いているが、ここ最近のヒットは「見る将」。まだそんなに定着度合いは高くないかもしれないものの、"ルールや戦法などはまったくわからないけど、将棋(棋士)を見るのは好き"という状態を、簡潔に表現してもらえるのはありがたいので(「ツンデレ」以来の感謝を捧げたい)。
2018.9.22 作家の読書道 第198回:久保寺健彦さん
7年ぶりの長篇『青少年のための小説入門』が話題となっている久保寺健彦さん。この新作小説にはさまざまな実在の名作が登場、久保寺さんご自身の読書遍歴も投影されているのでは? 聞けばやはり、幼い頃から本の虫だったようで――。
2018.9.19 独占インタビュー「ラノベの素」 師走トオル先生『ファイフステル・サーガ』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年9月20日にファンタジア文庫より『ファイフステル・サーガ』第2巻が発売される師走トオル先生です。2007年に刊行を開始した『火の国、風の国物語』より約10年。新たに動き出した王道ファンタジー戦記の気になる内容から誕生秘話、そしていよいよ発売となる第2巻の見どころについてお聞きしました。
2018.9.6 モデルはNHK!? 湊かなえ初の青春小説。高校の放送部によるドラマコンテストの熾烈な争い
初の新聞連載にして初の青春小説。湊かなえさんの新作『ブロードキャスト』は放送部を舞台に全国放送コンテスト出場をめざす高校生たちの熱血を描き出す。
2018.9.5 【今週はこれを読め! エンタメ編】チョコでつながる友情と成長の物語〜藤野恵美『ショコラティエ』
終戦直後の「ギブミーチョコレート」の時代から、日本人にとってチョコレートは特別なお菓子であり続けてきたのではないかと思う。たとえばバレンタイン、お菓子メーカーの商戦が功を奏した結果とはいえ、ものがチョコレートだったからこそこれだけ普及したのではないだろうか。素材として美味であるのはもちろん、風味や他の食材と会わせてのバリエーションも豊富、見た目の工夫もしやすい。
2018.8.21 【今週はこれを読め! SF編】土地そのものとしての精霊、歴史の底から甦る異教の魅惑
日本版オリジナル短篇集。「解説」で植草昌実さんが述べているように、ブラックウッドはイギリス怪奇幻想作家のなかでは、早い時期から知られた作家で、それなりの数の作品が邦訳されている。本書は、新訳2篇、初訳3篇、つごう5篇の構成だ。
2018.8.19 【今週はこれを読め! ミステリー編】J・D・バーカー『悪の猿』が無茶苦茶に面白い!
悪いお猿さんだ、うっきー。
2018.8.14 【今週はこれを読め! SF編】生存戦略としての支配? それとも共生による進化?
人類の知能が急激に向上することで社会が混乱をきたす。そんな事態をポール・アンダースンは『脳波』で描いた。トマス・M・ディッシュ『キャンプ・コンセントレーション』は、知能を増進させる新種細菌の被験者による手記の形式で、思考地獄ともいうべき境地が綴られる。知能向上はかならずしも人間に幸福をもたらさない。
2018.8.7 【今週はこれを読め! SF編】至高のミリグラム、赤ちゃんのエネルギー化、人造美人の広告
こんな奇想小説家がいたとは! SF風のガジェットを用いたもの、メタフィジカルなもの、皮肉な風刺が効いた作品、宗教的含意がこめられた小品、さまざまな手ざわりの二十八篇が収録されている。どれもごく短い。
2018.8.1 【今週はこれを読め! エンタメ編】屋根裏部屋の「ぼく」が伝える大切なこと〜吉田篤弘『雲と鉛筆』
思えば、子どもの頃は鉛筆をよく使ったものだった。小学校に入学してしばらくは、2BかBの書き方鉛筆。筆圧が強かったため、よく右手の小指から手のひらの側面の部分を真っ黒にしていたことを思い出す。その後は図工や美術で4Bや6Bなどを使うこともあったけれども、一般的には鉛筆よりもシャープペンシルを使用する人の方が圧倒的多数ではないだろうか(ペーパーレスの時代、筆記具そのものを使わないという人も多いのかもしれないが)。
2018.7.24 【今週はこれを読め! SF編】メタモルフォーシスと魅入られた者の情念
夏の楽しみは、東雅夫さん編の怪奇・幻想短篇集が読めることだ。2012年の泉鏡花『おばけずき』からはじまった平凡社ライブラリーの文豪怪異小品シリーズも、本書で7冊目となる。幻想短篇集はナイトテーブルにおいて、毎晩一篇ずつ、銘酒を味わうようにゆっくり読むのが理想だが、谷崎の文章の口当たりの良さにページをめくる手がとまらず、一気に読みあげてしまった。
2018.7.18 クリップ:第13回小説現代長編新人賞
■第13回小説現代長編新人賞(講談社主催)
2018.7.17 【今週はこれを読め! SF編】楽しく元気が出る一冊、銷夏に最適のポストうなぎSF短篇集
うなぎづくしのSF短篇集。題材は「うなぎ絶滅」だが、五篇それぞれに調理法も味つけも違っていて、つぎはどんなものが出てくるかと楽しみに読んでいくと、お腹いっぱいになる。みごとなフルコースだ。
2018.7.10 【今週はこれを読め! SF編】筒井康隆のシャバドゥビから、宇宙駆ける仏寺スペースオペラまで
年刊日本SF傑作選の十一冊目。
2018.7.6 【今週はこれを読め! ミステリー編】正義の探偵小説にして相棒小説『IQ』登場!
これは探偵という祈りについて書かれた小説だ。
2018.7.5 作家・西尾維新、言葉紡いだ15年 原点の京都で展覧会
「京都の二十歳」として出現し、独自の作品世界と驚異的な速筆で活躍する小説家の西尾維新。デビュー15周年を記念する展覧会「西尾維新大辞展~京都篇(へん)~」(展覧会公式サイト http://exhibition.ni.siois.in/別ウインドウで開きます)が7日、京都市の京都文化博物館で開幕します。会場を一冊の辞典に見立て、作品に登場するフレーズやアニメーション原画などの展示で、100冊を超える著作の魅力を紹介。作家その人に、展覧会への思いや執筆秘話を聞きました。
2018.7.4 【今週はこれを読め! エンタメ編】男の心情が描かれた作品集〜山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』
どちらかというと私は"男だから○○""女だから□□"という分け方に関心がなく、"結局は個人差ではないか"と考えているが、そうはいっても男女の違いというものが存在することは理解しているつもりである。以前ある作家による"完全に男子しかいない空間において、異性の目を意識していない彼らがどんなことをしゃべっているかを聞いてみたい"といった内容のエッセイを読んだことがあるけれども、ひとりでも異性が含まれる場においては確かに自分も無意識に話す内容を変えているのかも、と思い至った。
2018.6.29 独占インタビュー「ラノベの素」 悠寐ナギ先生『→ぱすてるぴんく。』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年6月29日に講談社ラノベ文庫より『→ぱすてるぴんく。』第2巻が発売となった悠寐ナギ先生です。第7回講談社ラノベ文庫新人賞「佳作」受賞作にして、隔月で続刊が刊行された本作。20歳の新鋭が描いたインターネットやSNSを通じた苦々しくも愛しい、リアルで等身大の青春ストーリーの内容や、第2巻の見どころについてお聞きしました。
2018.6.26 【今週はこれを読め! SF編】埃だらけの空気、花を携えた乗客、姿をあらわさないトラ
アルゼンチン幻想文学を代表するコルタサルの実質的な第一短篇集。1946年から50年までに書かれた八篇を収めている。「実質的」というのは、44年に短篇集『対岸』の原稿が完成していたものの、出版にいたらなかったからである(著者歿後の94年に出版)。『対岸』については邦訳が出たときに書評したが(現在は『JUST IN SF』に収録*)、そこではスタージョンやライバーを引きあいに出している。異色作家という位置づけだ。
2018.6.25 独占インタビュー「ラノベの素」 広ノ祥人先生『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年6月25日にMF文庫Jより『あまのじゃくな氷室さん 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』第3巻が発売となった広ノ祥人先生です。口では毒舌、本音では主人公のことが大好きすぎるヒロインの氷室さん。本音の声が主人公にだだ漏れる中、毒舌が思わぬ展開を引き起こしている本シリーズについて、氷室さんの毒舌と本音の考え方や、気になる第3巻の展開についてお聞きしました。
2018.6.20 【今週はこれを読め! エンタメ編】胸を打つ映画会社の同期会〜古内一絵『キネマトグラフィカ』
2018年現在、映画館で映画を上映する際のしくみがどうなっているのか正確には理解していないが(いや、昔もできていなかったが)、映写機が使われることがほとんどなくなったことは知っている。また、映画館の多くがシネマコンプレックス形式になっていること、名画座の数がどんどん減っていること等々、映画を取り巻く状況は昭和の時代からするとだいぶ変わった。
2018.6.9 三浦しをんインタビュー 3年ぶりの新作小説は、これまでのどの作品とも異なる読み心地の傑作!
少女たちの他愛ない手紙のやりとりから始まり、読者を思ってもみない場所へと誘い、強い衝撃と深い感動を与える、三浦しをんさんの最新作『ののはな通信』。「書簡形式」「明暗の共存」など、三浦さんにとって初となる試みも多い本作は、連載開始時から6年の歳月を経て、ついに刊行された。この物語が生まれた背景とそこに込めた思いをじっくりと訊いた。
2018.5.30 【今週はこれを読め! エンタメ編】女の呪縛をぶちやぶる友情物語〜柚木麻子『デートクレンジング』
アイドルというものの定義についてちょっと考えてみたい。
2018.5.12 【今週はこれを読め! ミステリー編】刑事ヴァランダー・シリーズ前日譚『ピラミッド』
作家が小説を書くのにはさまざまなやり方がある。
2018.5.9 【今週はこれを読め! エンタメ編】救われ救う短編集〜小嶋陽太郎『放課後ひとり同盟』
崩壊しそうな家庭に息が詰まりそうで、空に向かって足を蹴り上げ続ける。心と体の性別が一致せず、タールのような黒い液体が湧いてくる気がする。家庭に自分の居場所を見つけられず、実の母や義理の妹や飼い犬にまで反発を感じずにいられない。自分を助けてくれた同級生に似た女の子を探しながら生きている。兄や友だちの体の中に渦巻く黒いぐるぐるが見えてしまう。すべて『放課後ひとり同盟』に収録された5つの短編における、悩める登場人物たちのことだ。
2018.5.1 独占インタビュー「ラノベの素」 北条新九郎先生『常敗将軍、また敗れる』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年5月1日にHJ文庫より『常敗将軍、また敗れる』が発売された北条新九郎先生です。第11回HJ文庫大賞にて「大賞」を同作で受賞し、満を持してデビューされます。気になる「大賞」受賞作の内容はもちろん、規格外の主人公や「敗北」に込められた意味など作品の魅力について、お話をお聞きしました。
2018.4.24 【今週はこれを読め! SF編】インディーズならではの雰囲気、キノコのようにひっそり犇めいて
キノコをテーマにした怪奇・幻想小説のアンソロジー。原書は一巻本だが、邦訳は二分冊で本書はその第二巻。第一巻は、以前に紹介した。新しいアンソロジーを読むひとつの楽しみは未知の作家との出逢いだが、『FUNGI』はその度合いが甚だしく、ぼくが知っていたのは第一巻ではジェフ・ヴァンダミア、ラヴィ・ティドハー、W・H・パグマイア、第二巻ではニック・ママタスぐらい。
2018.4.17 【今週はこれを読め! SF編】消えてしまう過去、儚い現在、記憶のなかの世界
『プラネタリウムの外側』は連作集。有機素子コンピュータで会話プログラム(チューリングテストをクリアするレベル)を開発する南雲助教と、彼の研究室に関わるひとたちの物語だ。ITと現実感覚を結びつけたSFは数あるが、この作品はガジェット/アイデアばかりを前景化するのではなく、わたしたちが暮らしている日常、人間関係のなかで出逢う感情や感覚の地平で語られている。そこがとても新鮮だ。
2018.4.17 小説もエッセイも笑って泣ける感動作揃い! 西加奈子おすすめ12作品
直木賞作家・西加奈子待望の短編集『おまじない』(筑摩書房)が2018年3月2日に出版される。自身も関西で育ち、人情や愛憎の色濃い関西を舞台としたものが多い作品の数々には、引き込まれるように笑って読み進めながらも、クライマックスで人々の深い愛情に触れ、思わず涙するものも多い。本ページでは、そんな中からおすすめ作品の魅力をぎゅっと絞って紹介したい。
2018.4.3 【今週はこれを読め! SF編】アメリカ、それは最後のフロンティア
それはとほうもないライト・ショウだった。
2018.3.27 23年ぶりに再会した二人は恩師の死の謎に迫る…榎田ユウリ放つ感動長編『この春、とうに死んでるあなたを探して』
多様なジャンルで活躍する小説家・榎田ユウリの新刊『この春、とうに死んでるあなたを探して』が、2018年3月29日(木)に発売される。
2018.3.23 独占インタビュー「ラノベの素」 さがら総先生『変態王子と笑わない猫。&教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』
独占インタビュー「ラノベの素」。今回は2018年3月24日にMF文庫Jより『変態王子と笑わない猫。』第12巻&『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』が同時発売となるさがら総先生です。物語としていよいよラストを迎えることになる『変態王子と笑わない猫。』、さらに最新シリーズとしてスタートする『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』の両作品について、物語の見どころや新シリーズの礎となったご自身の体験談などを語っていただきました。
2018.3.20 【今週はこれを読め! SF編】輝かしい未来を取り戻すために、ぼくができること
二十一世紀になっても世界はダメなままだ。というか、どんどんダメになっていないか。
2018.3.15 【今週はこれを読め! ミステリー編】心に鎧をまとった男の長い旅『マイロ・スレイドにうってつけの秘密』
子供のころ、一日には良いことと悪いことが同量含まれているのだと信じていた。
2018.3.12 京都寺町三条のホームズ:人気ミステリー小説がテレビアニメ化 今夏放送
シリーズ累計発行部数が70万部以上の望月麻衣さんのミステリー小説「京都寺町三条のホームズ」がテレビアニメ化され、今夏に放送されることが12日、分かった。「あいまいみー」などのアニメーションスタジオ・セブンが制作する。
2018.3.6 【今週はこれを読め! SF編】盆暗にして繊細、くだらないからこそ輝く、宮内悠介の短篇集
宮内悠介の短篇集。純文学作品ではすでに『カブールの園』『ディレイ・エフェクト』という二冊の短篇集があるが、SFもしくはミステリの短篇集としてはこれが最初の一冊となる。厳密に言うと、『盤上の夜』『ヨハネスブルグの天使たち』『彼女がエスパーだったころ』『スペース金融道』『月と太陽の盤』は短篇連作を一冊にまとめているので、書誌的には短篇集なのだけど、現在の出版慣習では長篇とほぼ同等の扱いだし、読者もそのように受容している。
2018.2.23 【今週はこれを読め! ミステリー編】時代遅れの強盗が大活躍する『ダウンサイド 強奪作戦』
魅力的なケイパーの多くがそうであるように、マイク・クーパー『ダウンサイド 強奪作戦』(ハヤカワ文庫NV)もまた、失敗に終わった仕事から話が始まる。リチャード・スターク『悪党パーカー/人狩り』やロジャー・ホッブズ『ゴーストマン 時限紙幣』と同様。
2018.2.21 作家の読書道 第191回:原田ひ香さん
2007年に『はじまらないティータイム』ですばる文学賞を受賞してデビュー、『東京ロンダリング』や『人生オークション』、最新作『ランチ酒』などで話題を呼んできた原田ひ香さん。幼い頃、自分は理系だと思っていた原田さんが、小説家を志すまでにはさまざまな変遷が。その時々で心に響いた本について、教えてもらいました。
2018.2.20 【今週はこれを読め! SF編】ゲームをつづける町、バスを待つばかりの人生
創元SF短編賞を受賞してデビューした石川宗生の第一短篇集。四つの作品を収録している。どれも、型破りのシチュエーションから出発し、予想もつかない方向へと発展していく。奇想小説だけど、奇想だけに価値があるのではなく、それを転がしていく手つきがひどく独特なのだ。
2018.2.8 『スウィングしなけりゃ意味がない』佐藤亜紀
ついにこの本をご紹介できるときがきました。2017年に発売された文芸書のなかで私が最も太鼓判を押す、おすすめの書籍。佐藤亜紀『スウィングしなけりゃ意味がない』です。
2018.2.5 【今週はこれを読め! ミステリー編】残酷さと恐怖をくぐりぬけた者たちの物語『蝶のいた庭』
「おそろしく寒い夜でした。雪が降っていて、ほとんどまっ暗でした----大晦日の夜のことです。この寒い夜のなか、ひとりの貧しい少女が帽子もかぶらず裸足で通りを歩いていました」
2018.1.25 【今週はこれを読め! ミステリー編】声なき人のための物語〈アイアマンガー三部作〉完結!
エドワード・ケアリー〈アイアマンガー三部作〉がついに完結した。『堆塵館』『穢れの町』に続く最終巻『肺都』を読んで感じたのは、これは声なき人のための声として書かれた物語だ、ということだった。
2018.1.9 【今週はこれを読め! SF編】異なる物理理論の宇宙が、この宇宙を浸蝕する!
『宇宙消失』では人間原理、『ディアスポラ』では六次元時空構造、『クロックワーク・ロケット』では直交物理学......と、手を変え品を変え、読者の科学理解をあっさりとぶっちぎってくれているイーガンである。多くのSFファンはサッパリわからないといいながら、そのなんだか凄えイメージと案外叙情的なところもある物語に大喜びして読んでいるわけですが、こんかい訳された『シルトの梯子』はもうわからなさの極地。下敷きになっているのは量子グラフ理論。聞いたこともありません。
2018.1.8 【ダ・ヴィンチ2018年2月号】佐藤正午特集番外編
嘘を本当に見せる――佐藤正午とはいかなる作家であるのか
2017.12.30 ことしの国内出版市場 1兆3700億円余 ピーク時の半分に
ことしの国内の出版物の販売額は、漫画本を中心に雑誌の売り上げが過去最大の幅で減少して、推計で去年よりおよそ1000億円少ない1兆3700億円余りとなり、市場規模はピーク時の半分ほどまで縮小する見込みです。
2017.12.28 【書評】『ドレス』藤野可織 - 横丁カフェ
好き嫌いが非常に分かれる作家なので腰が引けるところがこれまではあったのですが、これほどの作品集を読んでしまったからには口を噤んではいられません。全日本の本読む人らよ、藤野可織を読みましょう。最新短編集『ドレス』(河出書房新社)を筆頭にいずれの本も傑作揃い。
2017.12.26 【今週はこれを読め! SF編】書いているのはタイプライターか私か? 狂っているのは誰か?
マイクル・ビショップが頭角をあらわしたのは1970年代半ば。ジョン・ヴァーリイやジョージ・R・R・マーティンなどと並び、ニューウェイヴで先鋭化したアメリカSFを、やや伝統寄りスタイルに引き戻しながらも、小説的洗練と新しい時代の感覚をほどよく盛りこんだ俊英----という印象が強い。とりわけ邦訳がある『樹海伝説』と『焔の眼』は、文化人類学の発想で異質な文化、オルタナティブな世界観を鮮やかに提示した。
2017.12.15 【今週はこれを読め! ミステリー編】虚実入り乱れる異色恐怖小説『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』
作業中にパソコンのハードディスクがぐぐぐと唸りだしておだぶつになった経験のあるすべての方にこの本、マイクル・ビショップ『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』をお薦めする。焦るよね、あれは。
2017.12.12 【重要】hon.jpサイト閉鎖について
【お知らせ】いつも電子書籍検索サイト「hon.jp」をご利用いただきましてまことにありがとうございます。
2017.12.11 第7回 本屋が選ぶ時代小説大賞発表!
「 オール讀物2017年12月号 」より転載
2017.12.5 【今週はこれを読め! SF編】狂気の細菌兵器、すでにはじまっている破滅
表題の「破滅の王」とは、治療法のない細菌兵器のことだ。常識で考えれば、治療法がなければ兵器として成立しない。破壊兵器と異なり、細菌は標的を絞れない。地に放てば、敵味方関係なく冒していく。そんなものを実戦投入できるはずがない。しかし、戦術としてではなく、暗い情念に駆られてこれを用いる者がいたら......。
2017.11.18 阿部和重×伊坂幸太郎「私小説として読んでいただいてもいい。僕ら二人が世界を救ったんです!」奇跡の合作小説『キャプテンサンダーボルト』待望の文庫化!
純文学のフィールドで活躍する阿部和重と、エンターテインメント小説界の雄として知られる伊坂幸太郎。二人が合作小説『キャプテンサンダーボルト』を電撃刊行したのは、2014年11月のことだった。本屋大賞にもノミネートされ話題を集めた同作がこのたび、上下巻の文庫版に。この機会に改めて、合作の成果を二人にうかがい、胸を張ってもらった。
2017.11.17 小学館:小説のタイトルを募集 異例の試み
小学館は17日、ミステリー作家、蘇部健一さんの書き下ろし小説のタイトルを一般公募すると発表した。集まった案の中から編集部が選んだ5タイトルを最終候補としてネット上の投票で決めるという異例の試みだ。
2017.11.14 【今週はこれを読め! SF編】マイノリティがマッチョを懲らしめる痛快ダイムノヴェル
ときは十九世紀後半。飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティはゴールドラッシュに湧いていた。
2017.11.9 青空文庫はこうやって運営され、こうやって活用されてます
10月14日に開催された青空文庫20周年記念シンポジウム"青空文庫の今とこれから"レポートの後半は、青空文庫にボランティアとして関わりたい方へ向けた入門セッションと、青空文庫の活用事例セッションをお届けする。レポート前編はこちら。
2017.11.8 【今週はこれを読め! エンタメ編】嫉妬渦巻くバレエミステリー〜秋吉理香子『ジゼル』
「ジゼル」、流行ってます? いや、古典バレエに流行というものがあるかどうかも知らないんですけど、当コーナー9月13日更新の『ジゼルの叫び』(雛倉さりえ/新潮社)もジゼルものだったので(よろしかったらバックナンバーをお読みになってみてください)。
2017.11.7 【今週はこれを読め! SF編】ズレながら重なりあういくつもの可能性世界
クリストファー・プリーストは、もはやSF作家というより現代英文学を代表する小説家のひとりといったほうがいいだろう。
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