志水 辰夫|しみず たつお|本名川村 光暁|かわむら みつあき、1936年12月17日 - は日本の作家。高知県南国市出身。
叙情的な文体で冒険小説から恋愛小説、時代小説まで手がけ、その手腕は「このミステリーがすごい!」などでも高く評価されている。特に初期はクライマックスを散文詩のように謳いあげ、「シミタツ節」の異名を取った。
高知商卒業後、公務員等の職を経て、出版社勤務。のちに雑誌のフリーライターとなり、40代で本格的に小説を書き始める。1981年8月に『飢えて狼』(講談社)でデビュー。北方の海を舞台にした骨太の冒険小説で、1977年刊行の谷恒生『喜望峰』(KKベストセラーズ)、1980年刊行の西木正明『オホーツク諜報船』(角川書店)などとともに日本に本格的な海洋冒険小説の時代を切り開いた。
つづく『裂けて海峡』(講談社ノベルス)もやはり海洋冒険小説でありながらセンチメンタル・ハードボイルドという一面も有する作品で、
天に星。
地に憎悪。
南溟。八月。わたしの死。
というラストの3行は講談社文庫版『飢えて狼』の解説で北上次郎が、同『裂けて海峡』の解説で内藤陳が揃って引用して見せるなど、いわゆる「シミタツ節」を代表するフレーズとなっている。
骨太かつ叙情的な文体で知られる志水だが、一方で悪ふざけに近いほどのドタバタに徹したコメディも手がけるなど、作風の幅は広い。しかし、その才気に反して売れ行きはふるわず、自他共に認める「永久初版作家」だった。そんな中、1990年の日本冒険小説協会大賞受賞作にして「このミステリーがすごい!」で1992年度第1位に選出された『行きずりの街』(新潮社)が、2006年からの2年間で発行部数66万部を売り上げるベストセラーになった。「このミス」1位作品であることをPRした帯がヒットの要因であるといわれている。著作は2年に一度新版が出るかどうかであったために志水自身も驚いているという。
70歳を過ぎた2007年、初の時代小説『青に候』(新潮社)を上梓、「今後は時代小説に専念するつもり」と表明。以後、現代小説からは遠ざかるものの、2023年、『約束の地』(双葉社)以来、実に19年ぶりとなる現代小説『負けくらべ』(小学館)を発表。初出誌の『STORY BOX』8月号では「伝説のハードボイルド作家、19年ぶりの現代長編!」とその〝復活〟が宣言された。
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