深水 黎一郎|ふかみ れいいちろう|1963年2月13日 - は、日本の小説家・推理作家。山形県山形市生まれ。山形県立山形東高等学校、慶應義塾大学文学部卒、同大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)。在学中に仏政府給費留学生としてフランスに留学。ブルゴーニュ大学修士号取得、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了。
2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。「ウルチモ・トルッコ」とはイタリア語(あるいはスペイン語)で「究極のトリック」を意味する言葉で、ミステリー界に最後に残った不可能トリックである「読者が犯人」に挑戦した意欲作であり、島田荘司も深水の小説を「この被害者を殺した犯人は、ぼくだった。(中略)誰もが気づかなかった方法。このジャンルの、文句なくナンバーワン」と激賞している 。この作品は文庫化の際に『最後のトリック』に改題されてベストセラーとなり、2019年にはマイナビ主催の全国高校生ビブリオバトルでグランドチャンプ本となった。
翌2008年に発表した『エコール・ド・パリ殺人事件』(講談社)は、その年の『本格ミステリベスト10』(原書房・以下本ミスと記述)で9位にランクインし、同年発表の3作目『トスカの接吻』(講談社)は、『2009本格ミステリーワールド』(南雲堂)の中の「読者に勧める黄金の本格」に選出された。
2009年発表の4作目『花窗玻璃 シャガールの黙示』(講談社)は、フランスのランス大聖堂を舞台としながらその大部分を占める作中作の本文中で、カタカナを一切使用しなかった。ちなみに花窗玻璃とはステンドグラスのことであり、作中には紋中紋の技法も用いられている。本ミスでは、ワセダミステリクラブの投じた一位票が集計に間に合わず無効になるなどの影響もあって21位にとどまったが、読者投票では3位を獲得、第10回本格ミステリ大賞の最終候補作にもノミネートされた。同年の黄金の本格にも選出されている。
2010年は『五声のリチェルカーレ』(東京創元社)、『ジークフリートの剣』(講談社)と音楽をモチーフにした二冊を発表、本ミスの作家別得票数で7位を獲得した。2011年に「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。同年秋、受賞作を含む第一短篇集を発表した。
2016年刊の『ミステリー・アリーナ』(原書房)は「多重解決の極北」の売り文句に恥じず、一つの事件に対して15通りの解決を示した問題作で、同年の『本格ミステリベスト10』で1位を獲得、作家別得票ランキングでも第1位となった。
2017年はデビュー10周年を記念して3月から5月にかけて3ヶ月連続新刊を刊行、それぞれ青春小説、野球小説、音楽ミステリー集と多種多様な作品だったため大きな話題となった。
趣味はピアノ演奏、ドイツ歌曲の弾き語り。2018年から日本推理作家協会賞の選考委員を務めている。
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