阿部 牧郎(あべ まきお、1933年〈昭和8年〉9月4日 - 2019年〈令和元年〉5月11日)は、日本の小説家。
京都府出身、高校時代を父の出身地である秋田県花輪町(現在の鹿角市)で過ごした。父は東大卒の京都府職員。母の叔父に横山助成がいる。京都大学文学部フランス文学科卒。サラリーマン生活の傍ら作家活動に入り、1968年に『蛸と精鋭』が候補になって以後69~71年にかけて7回(61, 62, 64, 65, 67, 71回)直木賞候補になる。
1987年『それぞれの終楽章』で第98回直木賞受賞。処女作から受賞作までの悪戦苦闘の足跡を綴った自伝的小説に『大阪迷走記』(新潮社)がある。
官能小説家として多くの作品があるが、野球に関する小説も多く、直木賞候補になった『失われた球譜』以後『狼たちの笑う日』や『ドンキホーテ軍団』、『焦土の野球連盟』などフィクション、ノンフィクションの区別なく秀作がある。また、『危機の外相 東郷茂徳』、『英雄の魂 小説石原莞爾』、『豪胆の人 帝国陸軍参謀長・長勇伝』などの評伝小説も多い。
プロ野球では読売ジャイアンツの大ファンであった。また競馬ファンとしても知られ、「(エリモジョージが勝った)1976年の天皇賞・春が一番印象に残っている」とNHK競馬中継でゲストで出演した時に語っていた(1988年天皇賞・春における放送時。解説を担当した武邦彦にもこの件に付いて語っていた)。
また1970年代には大阪放送(ラジオ大阪)にて『阿部牧郎とその一味』という環境問題を考えるラジオ番組のパーソナリティを務め、またKBS京都放送で担当していたラジオ番組『話のターミナル』での話術が評価されて第27回(1989年度)ギャラクシー賞を受賞している。
音楽に造詣が深く、管弦楽曲、ピアノ曲などのクラシック作品が効果的な情景描写として使われることも多い。また50代になってから正規のレッスンによりオーボエ演奏を習得した。
2019年5月11日、急性肺炎のため大阪府内の病院で死去。1933|9|4|2019|5|11。
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