津本 陽(つもと よう、1929年〈昭和4年〉3月23日 - 2018年〈平成30年〉5月26日)は、日本の小説家。本名、寅吉(とらよし)。
和歌山県和歌山市出身。旧制和歌山中学校から旧制大阪専門学校(現・近畿大学) を経て、1951年東北大学法学部卒。明間輝行は同期。同人誌『VIKING』で活動し、掲載作『丘の家』が第56回直木賞候補。1978年(昭和53年)、故郷和歌山を舞台にした『深重の海』で第79回直木賞を受賞。膨大な資料をたどり、小説の中で逐次資料の内容の提示と解説をしながら話を展開してゆく形式が多い。文体は情緒性を排した重厚で簡潔な表現が主体。
題材は主に剣豪や戦国大名、幕末英傑を主題にした歴史小説が多い。撃剣興行を描いた『明治撃剣会』を始めとする剣豪小説で人気を得る。剣道三段、抜刀道五段の腕前を持ち、武道への造詣が深く、剣豪だけの持つ高い境地や剣技の精密な描写をすることに長じる。戦国時代の塚原卜伝、柳生新陰流の柳生兵庫助、示現流の創始者東郷重位、江戸時代後期の北辰一刀流の千葉周作らの伝記小説において活写されている。
『明治撃剣会』執筆以後は歴史小説を書き、織田信長を題材とし、『日本経済新聞』に連載した『下天は夢か』は単行本出版後にベストセラーとなった。戦国大名については他にも豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗、前田利家等についても執筆している。和歌山県出身であることから、大量の火縄銃を駆使して戦国期に活躍した紀伊の豪族、雑賀一族を描いた小説『雑賀六字の城』『信長の傭兵』を執筆し、ここでは鉄砲の原理や戦法、戦略について詳細な考察をもとに描いている。
剣豪、戦国大名、雑賀一族以外の分野でも、江戸時代の徳川吉宗、幕末期の勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬、ジョン万次郎、中国の始皇帝、則天武后などを描いている。また熱心な浄土真宗門徒で教理に善く通じており、『弥陀の橋は 親鸞聖人伝』にて親鸞を描いている。
1997年(平成9年)に紫綬褒章を、2003年(平成15年)に旭日小綬章を受章。
2011年に発足した歴史時代作家クラブの名誉会長兼顧問を務めた。
遺作『深淵の色はー佐川幸義伝』、大東流合気武術佐川幸義の門人になり、武田惣角、植芝盛平の合気3部作を発表した。佐川幸義顕彰碑建立に尽力、合気の研究をライフワーク、第一人者でもあった。
2018年5月26日、誤嚥性肺炎のため死去。1929|3|23|2018|5|26。
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