島田 雅彦(しまだ まさひこ、1961年3月13日 - )は、日本の小説家。法政大学国際文化学部教授。
東京都に生まれ、1965年に川崎市へ転居。神奈川県立川崎高等学校を経て、1984年に東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。デビュー前までのペンネームは埴谷雄高の小説『死霊』の登場人物である首猛夫にあやかり、首猛彦としていた。
大学在学中の1983年、『海燕』掲載の『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー、芥川龍之介賞の候補となる。左翼を「サヨク」と表記した最初の人間。1984年、『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞受賞。『僕は模造人間』(1986年4月)、『ドンナ・アンナ』(1986年9月)、『未確認尾行物体』(1987年)と、郊外の新興住宅を舞台にした若年層の生活を描く作風で、新世代の作家として注目を浴びたほか、戯曲活動も行った。
オペラに造詣が深く、エッセイやデビュー作にも西洋クラシック音楽が出現する。1987年までに6度の芥川賞候補になった。長編『夢使い レンタルチャイルドの新二都物語』(1989年)を完成後、1991年にソビエト、チベット、ケニア、ジャマイカと、世界各地を放浪。
1991年、湾岸戦争への自衛隊派遣に抗議し、柄谷行人、中上健次、津島佑子、田中康夫らとともに『湾岸戦争に反対する文学者声明』を発表した。
1992年、『彼岸先生』で泉鏡花文学賞を受賞。
1993年、既成の文学賞への反発から瞠目反(アンチ)文学賞を主催、第1回の受賞作に奥泉光『ノヴァーリスの引用』を選ぶが、これは一度きりの開催であった。
2003年には「自らの代表作とすべく書いた」という『無限カノン3部作』(『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』)を完成。『彗星の住人』はその後『Jr.バタフライ』として2004年にオペラ化され、台本を島田自身が担当、三枝成彰が作曲する。『Jr.バタフライ』は2006年にイタリアのトッレ・デル・ラーゴで毎年開催されるプッチーニ・フェスティバルで島田自身の演出で再演された。三枝とは、オペラ『忠臣蔵』やカンタータ『天涯。』、『太鼓について』、NHK全国合唱コンクール高校部門の課題曲「また、あした」などの音楽作品を手がけた。
1998年に近畿大学文芸学部助教授に就任、2003年からは法政大学国際文化学部教授。2000年から2007年まで三島由紀夫賞選考委員を務めた。2000年に詩のボクシングに参加、第4回世界ライト級王座決定戦で平田俊子を破り王者となる。翌年の第5回世界ライト級王座決定戦でもサンプラザ中野の挑戦を破り王者を防衛する。2006年、『退廃姉妹』で伊藤整文学賞を受賞、2008年、『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2010年下半期より芥川賞選考委員となる。2016年、『虚人の星』で毎日出版文化賞受賞。
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