麻耶 雄嵩|まや ゆたか|1969年5月29日 - は、日本の小説家、推理作家。本名、堀井良彦。三重県上野市(現・伊賀市)出身。「摩耶雄嵩」「麻耶雄高」などは誤り。
三重県立上野高等学校、京都大学工学部卒業。在学中は推理小説研究会に所属、この時に短篇の執筆を始める。そこで知り合った綾辻行人・法月綸太郎・島田荘司の推薦をうけ、1991年『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビュー。
date=2021年3月|いわゆる「問題作」を一貫して書き続けており、長編・短篇を問わず寡作ではあるが、独特の世界観と手法的アプローチに強いこだわりを持った癖のある作風で、マニアックかつカルト的な支持を得ている。同業者やミステリ界隈からの評価に関わらず長い間無冠であったが、2011年に『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2015年、『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞受賞。2017年、『貴族探偵』がフジテレビ系月9枠でドラマ化。
2022年から本格ミステリ作家クラブ会長。
根幹にあるのはエラリー・クイーンやピーター・ディキンスンのような、ロジカルな謎解きと、事件・トリックの構築性に厳格な本格ミステリである。しかし物理トリックは破天荒で、プロットには意図的な落差が存在するため、読後の印象は一般的なミステリとは異なる。
プロットにおいては、人工的な意匠と関係性、非日常性を誇張した舞台設定、様々な意味で攪乱をもたらす伏線、読者の解釈に委ねられたラディカルな不確定性、そしてほぼ例外なく訪れるカタルシスと両立しないカタストロフを大きな特徴とする。
麻耶独自の特色としては、様々な予備知識を要する独特の仕掛けが挙げられる。登場人物の人名や台詞、固有名詞、小道具、あるいは本筋と関与しない点景などの細部に至るまで小ネタを多用しており、作品によってはそれが展開や解決の糸口にもなりうるガジェットの役割も果たす。そのネタの範囲はクラシック(作中の言及やタイトルの引用からバルトーク・ベーラやヨハン・シュトラウス2世を好むと思われる)、刑事ドラマ(『隻眼の少女』に登場する刑事4名の下の名前は『特捜最前線』のレギュラー刑事から全て引用)、アニメ(代表的なものでは『機動武闘伝Gガンダム』から東方不敗マスター・アジアの台詞を引用、『美少女戦士セーラームーン』から怪人名やキャラ名を引用など)、漫画(代表として、『きんぎょ注意報』、『こどものおもちゃ』などの少女漫画から固有名詞を引用している他、『エースをねらえ!』から登場人物の関係性を敷衍させたり、闇雲A子の名は恐らく陸奥A子からの発想である等)、特撮(『兄弟拳バイクロッサー』『仮面ライダーBLACK』『鳥人戦隊ジェットマン』からキャラ名の引用、また『美少女仮面ポワトリン』『超人機メタルダー』『ウルトラマンA』など、実は一番ネタが膨大な分野)、野球(某作において作者いわく「阪神ファンには犯人がわかる」仕掛けが用いられた)、推理小説の先行作(某作では事件の根幹に関わる重要な役割を果たした)など多岐にわたる。
また『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』では全編小栗虫太郎(ことに『黒死館殺人事件』)へのオマージュと関連した名探偵の存在・謎解きの様式への問題提起を行い、『夏と冬の奏鳴曲』では探偵役が解決を明示しないという大胆な手法で本格ミステリの枠組みそのものを問い、『メルカトルと美袋のための殺人』や『名探偵 木更津悠也』では、それぞれ名探偵と事件/名探偵と助手の関係性について顛倒を試み、『貴族探偵』ではいわゆる安楽椅子探偵へのアンチテーゼを打ち出し、『神様ゲーム』ではジュヴナイルの枠組みを借りて探偵役に本来の役目を放棄させることでその存在意義を突き詰め、『隻眼の少女』では探偵の存在とロジックの関係をミステリの定石に則って懐疑的に描き、『メルカトルかく語りき』においては自身の作風を否定しかねないほどに過剰に論理性を突き詰めるなど、ミステリ小説の構造自体に対する独特の問題意識が強い。
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