川上 弘美(かわかみ ひろみ、旧姓:山田、1958年4月1日 - )は、日本の小説家。東京都生まれ。大学在学中よりSF雑誌に短編を寄稿、編集にもたずさわる。高校の生物科教員などを経て、1994年、短編「神様」でパスカル短篇文学新人賞を受賞。1996年「蛇を踏む」で芥川賞受賞。
幻想的な世界と日常が織り交ざった描写を得意とする。作品のおりなす世界観は「空気感」と呼ばれ、内田百閒の影響を受けた独特のものである。その他の主な作品に『溺レる』、『センセイの鞄』、『真鶴』、『水声』など。
俳人でもあり(デビューと前後し、ネットで知り合った仲間と俳句を始めた)小澤實主宰の『澤』に投句しているほか、長嶋有らとともに句誌『恒信風』で句作活動をしている。
date=2016年10月
東京都に生まれる。父親は東京大学教授(生物学)の山田晃弘。3歳のときに杉並区に移る。5歳から7歳までを父親の赴任先であるアメリカ合衆国で過ごす。公立小学校3年生のときに1学期間を休む病気にかかり、このときに家で児童文学を読み始めたことから読書家になる。5年生のときに雙葉小学校の編入試験を受け入学。雙葉中学校・高等学校を卒業後、お茶の水女子大学理学部生物学科に入学し、「お茶水女子大学SF研究会」に所属。同時期に松尾由美、のちの漫画家湯田伸子がメンバーにいた。
1980年、大学在学中に山野浩一発行・山田和子編集のニュー・ウェーブSF雑誌『季刊NW-SF』第15号にて、「小川項」名義の短編「累累」を掲載。次号第16号で旧姓「山田弘美」名義の短編「双翅目」を発表、また「女は自ら女を語る」という座談会にも編集者として加わっていた。
1980年に大学を卒業し、NW-SF社で働くが1982年『季刊NW-SF』が第18号で休刊。そのため、同年に田園調布雙葉中学校・高等学校で生物の教員となる。1986年までの4年間を勤め、退職。結婚・出産(息子が2人いる)ののち主婦を経て、1994年に「神様」でパソコン通信を利用したASAHIネット主催の第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。この回の選考委員は、井上ひさし、小林恭二、筒井康隆。なお、2009年に離婚している。
次いで1995年に「婆」が第113回芥川龍之介賞候補作品となり、翌1996年に「蛇を踏む」で第115回芥川龍之介賞を受賞。1999年、『神様』で第9回紫式部文学賞、第9回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(審査員:久世光彦)。2000年、『溺レる』で第11回伊藤整文学賞、第39回女流文学賞を受賞。
2001年に第37回谷崎潤一郎賞を受賞した『センセイの鞄』では、中年女性と初老の男性との淡い恋愛を描きベストセラーとなった。同作品はWOWOWのオリジナルドラマ制作プロジェクト「ドラマW」により、久世光彦監督の演出、小泉今日子・柄本明の共演でテレビドラマ化されている。
2007年、『真鶴(まなづる)』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。なお、本作は箱入りの装幀が話題となり、担当した大久保明子は第38回講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞している。
2013年発表の2012年マン・アジア文学賞(Man Asian Literary Prize)において『センセイの鞄』の英訳(''The Briefcase'')が、ノーベル文学賞受賞者のオルハン・パムクの''Silent House''など4作品と共に最終候補に残ったが、受賞は逃した。
2007年の第137回芥川賞から選考委員に就任。2023年現在、谷崎潤一郎賞の選考委員も務めている。また三島由紀夫賞の選考委員を、2007年度(第21回)~2018年度(第32回)まで務めた。
2015年、『水声』で第66回読売文学賞を受賞。
2016年、『大きな鳥にさらわれないよう』で第44回泉鏡花文学賞を受賞。
2019年、紫綬褒章受章。
2023年、『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』で第76回野間文芸賞を受賞。
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